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込山洋一

ビール一杯のボーナスポイント

納得のいかない目覚めだった。

1回の表の守りは凡ミスやエラーが重なってコテンパンに点を取られた。長い長い守りが終わって、さあ攻撃だというところで目覚ましが鳴った。

「ガーンッ。打席が回ってこない」

12月に会社のソフトボールの最終戦が決まったからあんな夢を見たんだろうか。朝からカレーをほお張りながら夢について振り返る。

娘を学校に送ってそのまま会社に向かう。

と、パロスバーデス通りの真ん中で、配達車に積んだ水のボトルのパレットが崩れて道に散乱している。打席が回ってこなかった分、カラダをもてあましていたので、さっそく降りて拾いに行った。朝の空気の中でカラダを動かすと気持ち良い。散歩のカップルやメキシカンコンビが加わりピッチが上がる。運ちゃんは困り笑いを浮かべて喜んでくれる。それを受けてみんなの笑顔も広がる。目が合った、ゴミ回収のオッちゃんが親指を張り出してみせる。なんか清々しい朝。

推定消費カロリー=50kcal

ビール一杯余計に飲める。

11 22, 2006

「失敗」を考える

出張に出ていたので、今朝は久しぶりに社内勉強会の進行役。

午前8時開始。今日のテーマは「失敗」について。

良い失敗、悪い失敗ってなんなのか?そもそも失敗って何なのか?

テキストの朗読の後、リーダーをひとり置いて3人チームでそれぞれ15分間議論する。

若いインターンも元気良く発言している。半年前にインターンで入った石川くんは、当時みんなの前に出るとモジモジ君で何を言っているのかよくわからなかったけど、近頃ではキラッと光る意見が出るようになってきた。今日も「失敗は、成功に向けての試行錯誤のプロセスでは」と同じ人間と思えないようなことを言う。

いつも笑顔のあいさつがはじけるインターンの阿部さんは「失敗をしないと、人の痛みがわからないから失敗も必要」と血の通った意見を言った。

彼らの成長がうれしい。

編集の美奈子さんは、

「失敗をなくしていく努力は必要だけど、それ以上にライトハウスはチームでやっているから、失敗が起きた時に、まわりのみんながどうやってバックアップしていくかが大切」

とポイントを押えた。

最後にチームリーダー西村くんは、

「どうして失敗が起きたか分析するのと同じくらい、成功した時も、成功の要因を分析することが大切だと思います。そして、それを社内全員で共有すること。さらにそれを改善して、実際に行動し続けることが大切だと思います」

と括った。

進行役としてはちょっと良いことを言いたかったけど、みんなメンバーが言ってくれたのでヘラヘラ笑っているだけで終わった。理想的な勉強会だった。

11 21, 2006

秋の大運動会(遅報)

前々回のブログで運動会のことを書いておいて結果を報告してませんでした。

西大和学園補習校の今年の秋の運動会メインイベント(ホンマかい)「教員、学生選抜、父兄対抗リレー」はキッチリ優勝して幕を閉じた。

6人チームでボクはアンカー。1番でバトンを受けて、1番でテープを切ることができた。足が軽いこと、2年ぶりのテープの気持ちが良いこと。

初めて顔を合わせる即席父ちゃん連合チームだけど、ゴールを駆け抜けてそのままみんなで手を叩きあって踊りました。「5,6番でバトンを受けて、ジリジリ抜きながらトップでゴール」といういかにも卑しいシナリオを想像してたけど、あまりのうれしさにそんな考えは吹き飛びました。スパイクを持っていった甲斐があったというもの。

数日後、知らない女性に「すごく速かったですね」と声をかけられたりして、晩ご飯の食卓で胸を張ったら、家族に呆れられてしまった。価値がわかっていない。

さて、以前に「困難や問題にぶつかった時こそ、〔そうきたか〕と笑おう」と書いたけど、先週一週間もまた四方八方から「そうきたか」の波状攻撃で、いやはや歯応えのある毎日だった。

今年はビザや家庭の事情といった、当人や会社の努力ではどうにもならないことで、編集や営業のメンバーを何人か失った。辞めてもらったメンバーもいる。そこに追い討ちをかけて、頼りにしている外部パートナーの帰国や離脱が重なった。

にもかかわらず、採用が追いつかない状態が続いて久しい。こんなにかみ合わないこともめずらしいくらい。

先週は転職サイトのリクナビや、人の紹介で日本から採用予定だった二名の話がポンポンと立て続けに流れた。縁がなかったのだろう。採用計画がまた崩れる。

10月に掲載した業界誌「編集会議」の求人広告の反応もゼロだった。毎日のように履歴書がたくさん届くのだけど手ごたえがない。

そのしわ寄せで、編集や営業の現場でミスやトラブルが頻発する。それをベテランや職人スタッフが必死でカバーする。ミスを重ねるメンバーもいい加減にやっているわけじゃない。一生懸命頑張っている。手加減しているメンバーなんていない。明らかに人手不足によるオーバフロー。責任は経営にある。

あまりのことに営業の柱、片山と呆れ顔で笑った。

「営業、編集。パワーを取っても、スキルを取っても、今が一番どん底だな。そりゃ片肺飛行だもん。

どうしてもミスやトラブルが前面に出るけど、みんなホント良くやっているよ。良く頑張ってる。この状況は絶対にすごく大切な意味がある。

すべては必要必然。これは次のステージに登るための卒業テストやぞ。

思い通りの誌面づくり、思い通りのサービスができんのは歯痒くって仕方ないけど、逆に言えば、これでメンバーが揃ったらとんでもない会社になるぞ。

編集は人の補強も含めて抜本的に立て直そう。ライトハウスの基本は誌面の品質だから。来年は一年かけて徹底的に誌面を強化しよう。これに尽きる。

営業は数字よりもサービスの質。こっちも一年かけて最強チームをつくろう。お客さんとキチンと視界を共有できる、相談に乗ったり、頼りにしてもらえるメンバーを揃えよう。そのためにも採用と教育。次の510年のために今は屈(かが)んでジャンプに備えようぜ」

「社長、これまでもそうだったけど、これからも成長についてこれないメンバーが出てくると思います。今のメンバーにだって柱になっていく人、振り落とされる人の両方出てくるでしょう。それは私も含めてそうで、みんなが成長し続けなくっちゃならない。社長は心配しなくても大丈夫です。何があってもみんなでライトハウスを守りますから」

ボクが出張から帰った直後は、おっかない顔でテンぱっていたのに一人前のことを言ってくれる。

編集制作の責任者、青木も頼もしいことを言う。

「確かに人手もあるけど、人手が足りないことなんて、私が働き始めて十数年の間に何回もありました。大切なのは何があっても向かっていく気持ちなんです。ライトハウスを発行する責任感や使命感がないからつまらないミスが出たり、泣きが入るんです。向かっていけないメンバーはライトハウスに必要ありません」

サンディエゴの大野は、

「今回の特集記事。ロスの進行の見落としで、そのうちの一本が入稿二日前でまったく使えないことがわかったんです。だけどみんなキッチリやってくれましたからね。サンディエゴのメンバーもガッツありまっせ。寝んとでもやりましたよ。ミスでもトラブルでもドンと来いですわ!」

と、寝不足の顔で胸を叩く。

この卒業試験が、何をボクの気づかせてくれようとしているのか、少しずつわかってきた。

そのひとつは、ライトハウスを今日まで支えてきてくれたのは、20勝できるエースでも、60本ホームランを打つスラッガーでもない、(中途入社、新卒含めて)地道な仕事をキッチリこなす叩きあげのメンバーだ。そしてもっと言えば、彼らとライトハウス、彼らとボクを結ぶ心の絆(きずな)だと気づいた。

命にかえても幸せにすべきメンバーだ。

11 19, 2006

土曜日の朝

日本から帰って来て一週間。

今朝は早起きして息子のサッカーの試合を観戦。

それから自宅に帰って、ようやくブログを更新するためにPCに向かっている。

中庭に目をやると、プールの底を水面の影がゆらゆらと揺れている。風の形だ。

もう12月がすぐそこなのに、庭の花々は逞しく色鮮やかに咲き誇っている。レモンの木は、たわわに実ったレモンを、早く摘んでくれと肩を凝らせている。すまぬすまぬ、庭はこんなに元気に盛り上がっていたか。ネコのご飯も切らせてしまったし。忙しくっても、こういうことに気づかないのはいただけない。

そうしていると家内が帰って来て、隣に腰掛け、ちょっと聞いてくれるとひとしきりおしゃべりを始める。原稿はいっこうに進まない。

話題は今朝のサッカーにおよぶ。

息子にとって今日の試合は、長く戦ってきた秋のリーグ戦のセミファイナル。勝てば決勝戦、負けたらおしまいという大切なゲームだった。

結論から言うと今シーズン最後の試合になってしまった。

息子は、試合後日本の補習校へむかう車中、赤い顔をして肩をふるわせて泣いていた。

家内はあと一歩で決められなかったことや、エースの二人が試合に出られないまま惜敗したことを悔しがった。

でもボクはそれもこれも含めて良いことなんだと思う。

息子には大いに悔しがると良いと思った。負けて悔しがるのは精神が健康な証拠だし、負けを受け容れることは成長を助ける。負けることを知らないと、勝ったときに、相手の痛みを酌んであげることができない。

サッカーだって野球だってすべてのスポーツで頂点に立てるのは1チームだけ。

日本の高校野球なんか何千校から勝ち上がるんだから99.99%の選手は最後に敗北を知る。敗者の痛みを知らぬまま社会に出て行くことのほうがむしろ心配してしまう。

実は彼らがその先で待っている「社会人」という時代はそんな生やさしいもんじゃない。ずっと思い通り勝ち続けられる人生なんてありえないし、勝ち負けで言ったら、人生はそのほとんどが思い通りにいかない。

社会に出れば、好む好まないにかかわらず何らかの競争に晒される。

その時に大切なのは自分さえ勝てばいい(あるいは自分だけ勝ちたい)じゃなく、「相手を思いやる心を持ち続けること」だと思う。みんなが自分だけ勝とうとしたら、世の中は成り立たなくなってしまう。

本来、「おかげさま」で人は生かされているんだと思う。許されるのは、世の中に提供する価値を高め合うような、お互い切磋琢磨する「ポジティブ」な競争だけではなかろうか。

「自分さえ良ければ他はどうなっても良い」という「ネガティブ」な競争(競争というより足の引っ張り合い)は世の中を後ろに進めてしまって、みんなが不幸になる。

人は「組織(会社)人」である前に、地球という長屋の住人のひとりであったほうが良いと思う。

長屋の住民同士なら、味噌、しょうゆを貸したり、近所の小僧が悪さをしたら他人が叱ってくれるだろう。そう見栄を張ったりカッコつける必要もない。

お互い気持ち良く暮らせるように、譲り合ったり、分かち合ったりして工夫すると思う。自分のことだけ言ってたら成り立たないもんなあ。

近頃40歳にもなったんで、一人前にどんな世の中が理想で、その中で自分はどんな社会人であるべきかについて想いをめぐらせる。

世の中全員が、人よりお金持ちになることはできないし、人より広い家の住むことはできない。価値の基準がお金とか物質に偏った途端、物足りないことを数え始めるし、人より多く抱えようとしたり、人を見下したり、卑下したりしてしまう。お金や物質への欲望には際限がない。

お金もモノも、ほどほどの贅沢も否定しない。身の丈でやってる分に人がとやかく口出すもんでもない。むしろ、振り回されるんじゃなく、キチンと使いこなすことができたら実に頼りになるツールではないか。

だけど。

しょせんはツール。それ以上でもそれ以下でもないと思う。

日本の話だけど、知り合いのオーナー社長の何人かは、コンプレックスをバネに事業を拡大した。何人かは上場していたし、上場までいかなくても、ヒルズや西新宿の高層ビル街に立派なオフィスを構えた。ゼロから億のお金を手にした彼らを、メディアは時代の寵児として華やかな面にスポットを浴びせた。

そういう社長仲間と、実は違和感を感じながらつきあっていた時代がある。

彼らベンチャー社長の多くは、競い合うように物質欲を満たしていく。決して「足る」を知らない。

仕事に汗することを忘れ、飲み代に年何千万円使ったと胸を張り、海外で何百万、何千万円のギャンブルを打つ。時にインサイダー紛いの浮いた話に手を染め、ヒルズでタレントやモデルの卵との合コンで盛り上がる。

その良さがよくわからない。 

つるんでいるけど、脱落者には薄情だし、社会の弱者に滅法強かったりする。

一方では心の底で言いようのない不安やストレスが同居している。

そんな彼らの生き様を「カッコいい」と感じる若者が後を追う。

絶対にちがうと思う。

若い人たちに、本当に「カッコいい」ということは、表に出てこないけど、満員電車に鮨詰で運ばれながら会社や家族を護っている会社員や、自分の仕事に誇りを持っている職人や、一生懸命お辞儀をして頑張る店員や、ボランティアで車椅子を押す人だってことを知ってほしい。

そんな社会を支える大多数の人が、世の中の人に尊敬され、感謝され、愛される、そういうまっとうな世の中になったらどんなに素晴らしいだろう。

それともうひとつ。

みんなが「感謝の気持ち」を持って生きられたら、きっと「ひとり」からハッピーが広がって、ハッピーの連鎖は地域や国や世の中のハッピーに広がっていくと思う。

ハッピーは身の回りを探したら驚くほどある。

今朝元気に目覚めたこと、家族や仲間が元気でいてくれること、注文した中華丼にうずらの卵が2つ入っていたこと、大好きな仲間と好きな仕事ができること、ビールが冷えててうまいこと、青空がまぶしいこと、仕事で重大な問題を抱えていること、たくさんの責任があること、冷えたシャンパンが冷蔵庫に5本くらい入っていること、香港の友が元気な知らせをくれたこと、日本の母親が再婚者と仲良くしてくれていること、弟の商売が順調なこと、親父と酒が飲めること、仲間の再就職が決まったこと、仲間の手術がうまくいって無事退院できたこと・・・・・、自分はハッピーに包まれて生きている。

感謝は無限にある。

このハッピーから発信しよう。世の中が前に進むように。

ボクは口先で終わらぬように、この南カリフォルニアの日系社会から、ライトハウスから行動を起こしたい。

11 19, 2006