まちぶせ

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日曜日の朝。息子の剣道の試合がある大会会場から。

出張のない週末はほとんど運転手状態だ。たいへんではあるけれど、おかげで忙しい日常の中に親子の接点ができるから、シアワセでありがたいと感謝している。

送り迎えで生まれる車内の時間は、コミュニケーションの機会であり、(自分のことは棚に上げておいて)人として、大人として、男として、大切なことや身につけてほしいことを伝える「親子の授業」だと思っている。本人はわかっているのかいないのかミラーの中で一応は頷いている。

子どもたちには多くを望んではいけないと思っている。ただ、健康でやさしく、世の中の役に立つ人になってくれたらそれ以上のことはない。
彼らに伝えてやれる時間も永遠ではない。そのわずかな宝物のような時間を大切にしたい。

自分の話をしよう。先週は頑張ることができたという話を書いたけど、金曜日の夜にはオマケもついてきた。

半年ほども前だろうか。同じ日本語情報誌を当地で発行する「LA LA LA(ラララ)」さんと、(古紙回収業者に出すために)無料誌泥棒をしているJを深夜に待ち伏せして捕まえた話を書いた。

あれからしばらくは落ち着いていたのだけど、先週「最近雑誌が減るのが早い、どうやらJがまた懲りずに泥棒を再開したようだ」という連絡をラララの瀬尾さんからもらい再び待ち伏せることになった。

「待ち伏せ」と言えば昔、石川ひとみの「まちぶせ」という切ないヒット曲があった。切ない状況に変わりはないが、だいぶ趣(おもむき)がちがう。甘酸っぱいというより、しょっぱいのだ。

話は「待ち伏せ」にもどる。

屋外の配布は少ないライトハウスだけど、大切な情報誌が盗まれるのを見過ごすわけにはいかない。またそういう真夜中の危険な仕事を人任せにするわけにはますますいかない。

そんなことで、再び金曜日の深夜、制作部長で配布の管理も兼ねる青木くんと二人、ガーデナの某店舗の駐車場で待ち伏せた。

そんな時間帯だから誰もいないと思ったらけっこう怪しげな若者がたむろしているのですね。そのモールの通りに面した24時間のカフェに。ブラザーって感じ。ヤな感じ。

ボクらは目立たぬよう、若者たちが駐車する車に紛れて、後部座席で身を潜めていたんだけど、車のまわりを行き来したり、立ち話をする眼光鋭いブラザーの方がよっぽど怖かった。キミたち早く帰って寝ろって。

青木くんなんか「何があるかわからないんで、クレジットカード以外、キャッシュやATMカードは置いてきました。クレジットカードは停めたらすみますからね」だって。それ正解。

そんな危険も隣り合わせだけど、青木くんの奥さんが用意してくれた温かいお茶やおにぎり、味噌汁をいただきながら、お尻の時間を気にすることなく仕事の話ができるのはありがたかった。

最近加入した新人メンバーの様子、全体の作業の流れ、設備投資の必要性、人事まわりの話等々、たっぷりと深い話をすることができた。思わず毎週張り込むのも悪くないと思ったねえ。(ウソだよ、青木くん)

ラララのみなさんから時々入るケイタイで情報交換しながら午前4時40分まで待ったけどその日は雑誌泥棒が現れずに解散。もちろん、それで安心できるはずもなく張り込みは持ち越すのであった。(ホントだよ、青木くん)