みんなで作ったミッションステートメント

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10月3日金曜日。
朝6時半、一番乗りした会社の窓を、朝焼けが水色とピンク色に染めていた。

秋の匂いがする朝の空気を肺いっぱいに吸い込む。
まっさらな1日のはじまり。


日本、インドネシア、シンガポール、インドへの長期出張、帰国翌日にはシリコンバレー。
朝目覚めると「オレ、どこだっけ?」と一瞬考える。
そんな慌ただしく、そしていろいろなことがあり過ぎた一ヶ月だった。

そんな中、今週はLCE(ライトハウス・キャリアエンカレッジ/ライトハウスの教育研修事業)の日米のメンバー全員が集まって、サンディエゴに程近い海辺の街エンシニタスで合宿を行った。
12名を乗せたバンはボクがハンドルを握る。
往路では、一人ひとりがこの会社に入るまでのストーリーを1人5分で順番に語る。
誰もがその人のドラマの主役を立派に歩んできている。
バラバラの時代に生まれ、異なる風景の中で育ち、いろんな出会いや別れ、喜びや悲しみ、無数の決断と決意を経て、その人生の一番新しいこの瞬間にともに力を合わせて働いている。
世界には60億人もの人がいるのに、そのこと自体が奇跡だと思った。

宿舎に到着後、そのまま会議室に集合。
全員が書いてきた「2年後の未来日記」を読み上げる。
「そんなふうに思ってくれてたのか」
「そこまで考えてくれてたのか」
「おっ、宣言しよったな」
みんなが思い描くLCEの未来が立体的に浮かびあがる。
じっと聴き入るメンバー、うっすら目頭を赤くするメンバー。
ボクは鼻の奥のほうが熱くなり、それを悟られないように腕を組み眉間にシワを寄せた。
全員が読み終える頃、何だかその前よりおたがいの存在が近くなったように思えた。

それから、社長の高畠が経営方針をプレゼンし、いよいよメンバー全員で会社の「ミッションステートメント」と「2年後のビジョン」作りに取り組んだ。
まずファシリテータの植野毅が冒頭でルールの説明をする。
「肩書きや権威を持ち出さず対等で自由な立場で」
「自分の意見にこだわらず、人の意見の背景を理解しようとすること」
「ディスカッションでもディベートでもなく、この場は常にダイアログ」
話し合いは夜のコンパをはさんで、翌日の午後まで自由闊達に交わされた。
誰もへんな気後れやこだわりがない。ひとりでもスッキリしなかったら、何度でも元に戻って納得するまで話し合う。
「その表現、どうしてもキモチ悪いです」遠慮なくボードを指差す。
若手もベテランもナシ。
ひとつひとつの言葉をみなで徹底的に練る。練って練って練り上げる。
例えば、ボクらは学生に(機会を)「提供」するのか、「貢献」するのか、「奉仕」するのか、「支援」するのか。それぞれ似ているけど、微妙に立ち位置が異なる。
「カスタマー」は誰で、「クライアント」は誰なのか。相手は「学生」なのか「若者」なのか。
このプロセスが、互いの理解を深め、自分たちの事業や事業領域を定義づけていく。曖昧が行き場をなくし、次々と塗りつぶされていく。

そうそう。初日の膨大な話し合いは、コンパが終わった夜中の1時から、植野が徹夜で整理してまとめてくれた。
そんな経営の姿勢と覚悟も、メンバーたちはよく感じ取ってくれたと思う。
そしてできあがったのがこのミッションステートメントだ。

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若者が、自分らしい「生き方」「働き方」を見出す
キッカケを掴めるよう
「自分ひとりでは体験できない機会」の提供者として
世界中で挑戦する人・企業と出会い、多様な価値観に
触れ、感じる場をつくることで
新しい可能性を自覚し、勇気を持って
次の一歩を踏み出すことを応援する。
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これからは、すべての「よりどころ」がみんなで作ったこのミッションステートメントだ。
新しいことを創造する時、大きな決断の時、判断に迷った時、苦しくてもう足が前に出ない時、常にボクらはここに立ち帰ればいい。