静かなハロウィンの夜

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静かなハロウィンの夜。

いや、世の中ではなくウチの話。

家人も僕も忙しさに、飾り付けも訪れる子供たちのお菓子も用意するのを忘れていた。

いつもなら点けている玄関の照明も消し、外に明かりが漏れないようにキッチンも暗くして、気配を隠して食事をした。ふと「逃亡者」の文字が頭に浮かぶ。

その時、
「コンコココンコン、コンコン」
と、威勢の良い玄関のノック。

ぎょっと顔を見合わせる。

息子が玄関脇のガラス戸を確認すると、二人の子供。

家中のお菓子を血眼で探し、仏壇に備えたポッキーをつかみ息子に手渡す。息子からポッキーを手渡された子供たちは大喜びで帰ってゆく。

さあ、また来たらどうする。。手を休めることなく食料庫やキャビネットを探す。

家人が味付け海苔を起案するが却下。整合性もセンスもない。僕はこの機会に日本の食文化普及を結びつけ、まとめ買いした日本のカレーやシチューの箱を渡そうと閃いた。

が、幸か不幸かもう子供たちが来ることはなかった。

来ると困るが、来ないと淋しい。自業自得だけど、ちょっぴり気疲れするハロウィンナイトだった。