冷たい手のひら

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松山から高知に向かう列車から。
車窓をみかんの木と瀬戸内海がゆっくり流れてゆく。

朝松山を発つ前に、メンバーの実家に立ち寄った。
タクシーを待たせて、ほんの数分だけ。
せっかく松山まで来たので、息子が元気で頑張っていることと感謝を伝えたかった。

玄関が開くと、東京駅の雑踏で会っても、すぐに本人の父親とわかるくらいソックリで、背筋がピンと伸びたお父さんと、聡明でやさしそうなお母さんが迎えてくれた。

タクシーの中でいろいろ言葉を考えていたのに、その場になると、元気でやっているけど寝る時間も惜しんで頑張っていると、かえって心配をかけるようなことを言ってしまった。

年老いた両親の手のひらを両手で包むと、少し冷たくて、 ふいに鼻の奥の方が熱くなった。