人生に前向きになれない時

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日本から帰ってきて明日で一週間。
毎朝欠かさずに自転車とジムと水泳で汗を流すことで心身のキレが戻ってきた。

最近、友人のドクターの相談を受けた。
数十年来のつきあいの彼は、患者の信頼も厚く、ローカルではもっとも繁盛しているクリニックの経営者だ。少し繊細なところがあるけど、頭脳明晰で人柄も温厚。それが近頃元気がない。

「人生に対して前向きになれない。 どうしたらいいのだろう」

的確なアドバイスも魔法の言葉も持ち合わせていないけど、感謝と謙虚さを持つことから始めてみたらと伝えた。

僕は悲しい時や何をやってもうまくいかない時には、身の回りの感謝を数えるようにしている。

大切な人たちが今日も生きていることは当たり前ではない。僕が世界のどこにいてもメンバーが働いてくれていることも、お客さんが毎月お金を払ってくれることも当たり前ではない。読者がライトハウスを読んでくれることも、学生が今年も研修にたくさん参加してくれることもそうだ。

感謝を想うと、自分自身が奇跡の集積の中で生かされていることに気づく。そうすると大抵のことはなんということはない。また新たな力が湧いてくる。

才能や運だって預かりモノだ。 僕は粘り強さ以外の才能はないけど、健康と人と運にめっぽう恵まれてきた。でもそれを当然と勘違いした瞬間失うこともわかっている。自分以外の誰かのために与えてもらったギフトを、誰かのために費やすことで、また次のギフトが与えられるのだと思う。そんなふうにこの歳になって考えられるようになってきた。

彼に読んでもらうための本を本棚から出してカバンに入れた。

稲盛和夫さんの「生き方」。

僕の甘っちょろい考え方や生き方を何度となく矯正してくれた大切な本だ。