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込山洋一

ルート66を走る(その2)

「いたいたいたいたいっ!」
自転車旅2日目の夜、僕はホテルのベッドで入念にストレッチをしている。
アルバカーキからフラッグスタッフまで530キロの自転車旅は今日で2日目。
想定外のオンパレードながら、中間地点のギャラップまで到達することができた。
1つ目の軽い想定外は、前回のセントラルカリフォルニアの旅に負けないくらいグーグルマップのルート表示に翻弄されていて、個人の所有地(畑や牧場)を突っ切るルートだったり、マウンテンバイクでないと走行不能なルートに右往左往せねばならなかった。
そこへ持ってきて、ルート66は気まぐれに消えたり生えてくるもんだから、突然現れる通行止めの標識に途方にくれたりした。
気温が0℃近くまで急激に下がる日の入りは待ってくれない。さらに宿場町から次の宿場町は100キロを超える距離。
選択肢がない中で、深さがわからない泥水の水たまりを抜け、砂利道で足をさらわれ、時には高速で大型トレーラーが真横を走るフリーウェイを走り抜けた。
もうひとつの想定外は「犬」。
初日の午後、突然遠くから2匹の大型犬が真っすぐに僕らを目掛けて走ってくるではないか。
友好的な雰囲気でないことは真横まで迫った険しい表情でわかる。
身の危険を感じた僕らは必死でペダルを踏み込む。まだこんなに力が残っていたのかと感心するくらいの超スピードで。
それでも低い声で吠えながら、2匹の大型犬はしばらく僕らを追いかけてきたが、最後にはようやく諦めた。
怖かった。
久しぶりにキラキラ目が潤んだ。
それでもドラマは終わらない。。
大型犬を振り切ったと思ったら、しばらくして今度は10数匹の小型犬の群れが反対方向から向かってくるではないか。いい大人が子犬に追いかけられてまたまた全力で逃げる。
もう笑うしかなかった。
おかげで一夜明けた今日は、2、3匹の小型犬が追いかけて来ようものなら逆に怒って吠え返したし、牛が横切っても馬が現れても驚かなかった。
おっかない話ばかり書いたけど、風景はどこまでも壮大で、人は温かい。シアワセな旅をしている。
橋の上から眺める長い列車は地平線まで届いたし、グランドキャニオンのような神秘的な岩肌の山が、僕らを見守るようにどこまでも広がっていた。
食堂や水を補給する店では、店員や客がどこに向かうのか笑顔で尋ねる。通り過ぎる車はクラクションで僕らを励まし、すれ違う村人は人懐っこい顔で手を振ってくれた。
計画通りにいかない旅だからこそ、ふだん使わない脳みそや生きるための本能を呼び覚ましてくれる。
さて。この250キロはひたすら登り道だったけど、明日からは下りに転じる。80キロ先の宿場町にするか、その次の160キロ先の町にするか、出たとこ勝負で決めるのだ。

 

11 12, 2016