ガンバレ移民!

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昨晩は親父の69歳の誕生会で、お世話になっている方や友人家族が拙宅に集まってくれて遅くまで飲み明かした。

めでたいめでたいと、シャンパンに始まり白ワインでつなぎ、赤ワインでしめるふりをして一転ビールと焼酎で引っ張った。いや、よく笑いよく飲み、実に楽しい夜だった。

今朝は息子を(ブリッジUSAの発行人石井さんが主宰する)サッカーチームに送った後、銭湯に行ってマッサージをしてもらった。ボクはマッサージや指圧が好きで、疲れがたまるといつくかの馴染みの店やクリニックに出向く。

「前回来た時はアナタよっぽど疲れてたでんでしょ」

よく指名するアメリカ在住中国系韓国人のリサ(仮名)はボクの肩に太い指をめり込ませながら言った。

そうそう数週間前に寝不足気味で来た時はマッサージを始めた途端、終(しま)いまで大イビキをかいて眠ってしまい、カラダは楽になったんだけど少し損をしたような気分になったんだ。

今日はじっくり堪能しようとカラダを預けた。

「リサはえらい達者だけど何年のこの仕事をやってるの」そんな話からいつの間にか彼女の身の上話になった。

オバQの彼女P子ちゃんに似たリサは、ボクより2歳若い39歳であること(ボクは聞かないよ)。17歳のひとり娘をアメリカの学校に行かせるために母子で渡米して3年になること。旦那さんはアメリカが嫌いなので、別居して中国で働きながら時々こっちに来ていること。娘はアメリカの弁護士資格を取得するのが目標で、取得したら親子で中国に帰ろうと思っていること。彼女が中国に一時帰国しないのは、不法移民だからいったん国を出ると再入国できないという事情があること。休みは週に一日で、それ以外は朝の9時から夜の9時まで働いていること。

リサの話を聞きながら、別のマッサージサロンで働くミッシェル(仮名)のことを思い出した。韓国の釜山出身の彼女は大学を出てから渡米。両親は年老い、金銭的な支援は望めないし頼りにする気持ちもない。むしろ早く親孝行をしたい。今は看護婦になるのを目標に、看護学校に行くためのお金を働いて貯めている。マッサージの仕事は決して好きではないけど、客の合間の待機時間に勉強できるのが良いそうだ。週に一日の休みは一日中勉強をしていて、息抜きにガーデナのマルカイに行くのが楽しみだと言う。

「えらいなあ、がんばってるなあ」と感心すると、若い頃の吉永小百合のような顔立ちの彼女は屈託のない笑顔で「ライフイズハード」と気丈に応える。

名もない尊敬すべき人たちが必死にアメリカにしがみついて生きている。

確かにアメリカは懐の深い国だけど、それでも異国の地で「移民」が生きていくのは並大抵のことではない。もしその時に、例えば数千ドルの金があったら踏ん張れたのに泣く泣く帰国した若者は多いだろう。ボクも86年に渡米した頃、騙されて金に困って帰国しかけた。断念して帰国した人たちと、今残って根を張るボクの間に「運」以外の差はない。出逢った人、そこにあったチャンス、タイミング、すべて紙一重のちがいなのだ。

もっともっとパワーをつけて、「日系」なんて縛りをつけずに、必死で頑張る「無印」「ガッツ&ハート」の移民に奨学金を出したり、スポンサーができる人間になりたい。

そしてヤツらがまた次世代の移民を支援するポジティブスパイラルを自ら創りたい。