誕生祝いに

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今日は土曜日。

早朝から、ソフトボールで同じリーグのIACEトラベルとライトハウスの練習試合(ダブルヘッダー)でたっぷりと汗を流した。

腰を痛めていた弟の雄三も久しぶりに復帰。まだ腰を庇いながらで十分に走れないけど、最終打席はレフトの頭上をたっぷり越える特大ホームランで復活の手応えをつかんだ。12打数9安打。

あいかわらずボクは、カラダにキレが良くって仕方がない。

と、調子に乗って(乗せられて)十分なアップもぜずに乗って走りまくっていたら、プチンと左足のふくらはぎを肉離れしてしまった。またそれを庇って走っていたら今度は右足のふくらはぎも傷めてしまった。

良い歳をして張り切り過ぎ。アホである。

それでも打撃の方は、雄三と同じく12打数の9安打。(今日のグランドはフェンスがなかったけど)サク越えのあたりが4、5本あったので上々の出来。後半は足が上がらなくてペンギンのようにポコポコ走って同情を誘った。

試合の結果は、田山父、武田の両投手の好投と、ハンくん、寺尾くんら若手の好守巧打で2試合とも快勝(26−6、17−5)した。

ご機嫌さんで帰って来たけど、家に帰ったところで歩けなくなって、カミサンに両足にアイスノンを括(くく)りつけてもらって、娘には泥んこの靴下を脱がせてもらって、カエルがひっくり返るような情けない格好でしばらくへばっていた。暇にしている息子はその上に腰掛けたり、瞼を指で開いてオモチャにしていく。

さてさて今日は弟の38歳の誕生日。
良い歳をして誕生会でもないが、身内で集まって無事を祝う。

まぁそういうときはまわりが準備をするもんだけど、料理に関しては弟自身が料理人でもあるから自らが腕を振るってみんなをもてなす。

今頃は親父と義妹とキッチンに立って料理を拵(こしら)えているのだろう。

「しばらく忙しすぎたから、これからはまた人づきあいを丁寧にしようと思うんだ」

先日、久しぶりに二人で飲んだ時にそう言っていた。いろいろなこともあったようだ。

弟は2年前にライトハウスを退職して飲食店を立ち上げる時に「もうこの仕事に入ったら必要ないから」とネクタイもスーツもボクにくれた。
そして体型が同じボクは、洒落ものの弟の服を好んで着ていた。

さて、誕生祝いに何を贈ってやろう。

アイスノンで両足を縛ったカラダでしばらく天井を睨んでいたら閃いた。

アイデアが外れていないか、念にために仕込み中の弟に電話する。

「あのさあ。プレゼントなんだけどジャケットとかどうよ。これから社交的な人生を歩むんだったら何かと便利だろ」

「それうれしいよ!でも新しいんじゃなくてええよ。わざわざ買わんといて。兄ちゃんの持ってるので使ってないんがあったら貰ろてええん?ジーンズにも合わせられるようなヤツやったら最高や」

「おう、任しとけ。後でな」

ヘラヘラとマヌケな顔で笑う弟を思い浮かべながら、クローゼットからお気に入りのジャケットをいくつか掴んで、ちょっと躊躇(ためら)いつつもいつか着ようと思っていたポールスミスのシャツを勢いで車に詰め込んだ。