「おかげ」の中で

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金曜日の午後9時半、久しぶりにトーランスの剣道場から。
ずらりと並んだ剣士のお母さんたちに混じってオジサンひとりPCをパチパチ叩いている。

道場の入り口の横に、出席簿や救急箱を置くためのデスクがひとつだけあるのだけど、ボクが来るといつもそこで仕事をするものだから、その「席」はいつも空けておいてくれている。とってもありがたい。

ありがたいと言えば、現在、ロサンゼルス版とサンディエゴ版を合わせると10万人を超える方たちが毎号のライトハウスを読んでくれている。

日本や州外、海外からウェブサイトに来てくれる読者を合わせると、世界中で15〜20万人もの方たちが、ライトハウスを読むことに人生の一部を費やしてくれている。

人様の人生に少しでも関われる仕事。さらにそれによって、その人の生活が便利になったり、落ち込んでいたのが元気になったり、笑ってくれたりしたらこんな幸せなことはない。とても尊い仕事をさせていただいていることを忘れてはならない。

またライトハウス本誌の広告主は、不定期のお客さまも含めると600件くらいいて、毎日その会社のスタッフのみなさんが力を合わせて積み上げた、大切な売上の中から我々に払う広告費も捻出してくれている。

支払いの多くは銀行やクレジットカードから自動的に引き落とされて、実際のキャッシュを目にすることはないけれど、飲食店に例えるならそのお金は、一杯あるいは一皿を売って数ドルの利益の積み重ねであることをボクたちは決して忘れてはならない。

学校や塾であれば、お父さんの給料の中でお母さんが一生懸命やり繰りして捻出したお月謝かもしれない。シングルマザーならもっとご苦労もあるだろう。それが学校の収入となって、そこから給料や家賃や教材費、いろいろな経費を払っていく中で広告費として我々に払ってくれている。

この日系社会で生活する人がいて、その中で事業を営む人がいて、その循環の中で初めてボクたちはこの地に根を下ろして出版活動を継続することができる。

今経営が成り立っているのを、間違ってもメンバーの気持ちの中で、誌面が良いからとか、ワタシの営業が達者だからなどという過信や慢心があっては絶対にならない。会社はそこから崩れていく。

今ある環境は、すべてのまわりの人たちの「おかげ」だ。ボクたちが毎号改善を重ねて、良い本になるよう精魂込めてライトハウスを作るのは使命であり社会に対しての約束だ。

LCE(ライトハウスキャリアエンカレッジ)の教育事業やHR事業も同様だ。

対象者(顧客)はもっとしぼられるけど、その分相手の人生に関わる深さはさらに深く、責任は重い。

日々の業務では、首を傾(かし)げるようなやる気のない学生に出くわしたり、無責任だったり、非常識な相手と向き合うこともゼロではない。

一瞬、同じ人間であるが故に、失望をしたり、腹を立てそうになっても、グッと歯を食いしばってその人自身を信じようと努める人間でありたい。

それは、

「人は機会によって必ず成長できる。その機会を提供できる会社を創りたい」

そういう信念と情熱を持って始めた会社だから、現在の有り様を評価することが目的ではなく、現在の立ち位置のところから成長してもらうこと、あるいは成長できる環境を用意することが目的だ。

人を諦めてはならない。

人は愛を持って機会を提供したら必ず成長することができる。

まったく独立したふたつの会社だけど、ボクたちは常にその原理原則に立ち返って、自分を戒め、謙虚な気持ちで取り組まなくてはならない。決して感謝を忘れてはならない。

いろいろなことが思い通りに行かない時期にこそ、原理原則に立ち返ってベクトルを重ね、夢が実現していく様子をカラーでリアルにイメージすることが大切だし、成功しても、大成功しても、もっと成功しても、原理原則と初心に立ち返って、創業期や山の途中で苦しみもがいた時期、その時に歯を食いしばって頑張ってくれたメンバーのことを忘れてはならない。