グランドキャニオン谷下り(前編)

NO IMAGE

ちょっと話が前後するけど、先週末のグランドキャニオン谷下りの話を書きたい。

2007年4月6日金曜日、早朝パロスバーデスの自宅を息子の玄(はるか、12歳)と二人で出発した。

今回のメンバーは、山仲間の高津さん、そこにホームステイする青年、今年50歳を前に体力の限界に挑戦しようというラスベガス大全社長の薬師寺さん、そしてボクと玄の5人。部分的に初顔合わせの不思議5人衆で、世界の国立公園グランドキャニオンの谷下りを目指す。

この様子は、来月発行の春の増刊号に掲載されるのだけど、ライトハウスブログで一足先に報告したい。

今回の試みは、50歳男薬師寺さんが学生時代以来すっかり運動から遠ざかっている運動不足中年の代表なら、息子の玄は本格的な山のデビュー戦という記念すべきアタックだ。

グランドキャニオンと言えば身近な存在だけど、谷底まで下る「ブライトエンゼルトレイル Bright Angel Trail」は見た目以上にハードで、舐めてかかる観光客が毎年のように脱水症状や日射病で命を落とすと言う。

高度2,091メートルから、コロラド川が流れる732メートルまでの高度差1,359メートル。温度差の激しい日は一日の気温差が摂氏で40度になるというから堪らない。アタックするなら春か秋がシーズンだ。

通常の山であれば下から登って頂上でヘトヘトでも、あとは重力の助けを借りて降りれば何とか麓まで辿り着ける。しかし、今回のように谷下りの場合、勢いで谷底に辿り着いても、そこで体力を使い果たしてしまったらおしまいだ。

そこへ持って来て、途中で命の水を切らしたら、文字通り命取りとなる。

そんな危険なところへ12歳の子どもや体力不足の中年を連れて行くなという声もあろうが、そこは高津さんとボクなら、最悪でも二人をオブって生還する体力は備えていると信じてチャレンジした。

途中、トーランスで高津さんと青年、ネバダ州のラフリンで薬師寺さんと合流して、64号線沿いのグランドキャニオン国立公園から、車で5分手前の村「ツサヤンTusayan」のベストウエスタン(800−780−7234/928−638−2681 *今回はシーズン中のため一泊180ドル程度。スパ、ボーリング場、テススコートなども備え施設は充実)に着いたのは午後4時前。

宿泊施設は、国立公園内(料金所を通過したあと)にもブライトエンゼルロッジ、ヤバパイロッジ、エルトバホテルなどがあるが、通常それらは何ヶ月も前に予約で一杯になるので、多くの人はこのツサヤンに泊るようだ。

ツサヤンはモーテルが5-6軒あるだけの小さな村だけど、ステーキハウスやピザ屋、ファストフード、小さなスーパーマーケットも道沿いにあって不自由はない。

いったん明日の装備を準備して、トレイルの視察に出る。

国立公園の入り口で通行料25ドル(年間パスは80ドル)を払って、目的のブライトエンゼルポイントに直行する。ここは道なりに走っていたら、5分余りで標識が出てくるのですぐにわかる。

一般の観光ツアーなどで多くの人が訪問するビューポイントは、ブライトエンゼルポイント、ヤバパイポイント、マーサーポイント(マザーと呼ぶこともあるが正しくはマーサー)の3つ。

また、トレイルもいくつかあるけど、ダントツに有名なのが今回のブライトエンゼルポイントから降りる「ブライトエンゼルトレイル」。

実際に数百メートル歩いて、トレイルのコンディションを確かめたり、地図と風景を重ねて見る。思ったより道幅は広く、人の手で整備されている。話には聞いていたけど、観光客を乗せて上り下りするロバの糞がそこここにあって、ニオイと足場がけっこう気になる。

薬師寺さんと青年は長くて深いトレイルを目の当たりにして不安な面持ち。

帰りにスーパーに寄って明日の水と食料を調達する。

水分は大人で最低3リットル。子どもも3リットル近く用意したい。ボクは吸収の良いゲータレードを20〜30%混ぜておく。

食料は息子と二人分で、バナナ3本とドーナツ数個、マフィン2個、エナジーバー4本、ミックスドライフルーツ。これらはすぐにエネルギーに変わる。ホントは山歩きは梅やおかかのおむすびが最高なんだけど、今回は準備の時間がなかったんで、スーパーですべて調達する。

装備についてもふれておこう。

ぜひ持参してほしいのが、

帽子/サングラス/日焼け止め/杖(REIなどのアウトドアの専門店にある)/ヘッドライト(早朝の出発や日中に帰れなかったときのために)/厚手のソックスと底の固い靴(岩や段差から足を守るため)/猛暑と酷寒両方に対応できる服装/地図とコンパス(丸を書くのは役立たない)/ビニール袋(ゴミは自分で持ち帰る)/タオル(汗を拭くだけでなく、首に巻いたり何かと便利)

それと足の爪は前もって切っておきたい。

さて準備も万端でホテルに帰り、みんなでジャグジーやサウナに入って疲れを癒す。

この日はおとなしく館内の食堂でビールと白ワイン、赤ワインを軽めに摂取して、午後10時には床につく。運転の疲れもあって消灯して3秒で夜に沈んだ。

天気予報によると明日はサンダーストームの確率が30%。