青空の配達

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水曜日は久しぶりにオレンジ郡の配達をした。

実は今年から、メンバー全員による配達を復活させたのだ。

もともと89年の創刊以来、配達はスタッフが分担してやっていた。
それが、業務の専門性が進み、個々人の仕事の量が増え、コストパフォーマンスを優先するあまり、途中から外部の業者さんに委託するようになった。

「いかん」

と昨年気づいた。気づくのが遅かったけど。

配達は言ってみれば、一冊のライトハウスを作り上げるうえでの最終バトン走者であり、読者との接点の場。手に取っていただいてこそ一冊の本に命が宿る。読んでいただけなかったら紙の束に過ぎない。

この4、5年の間に入社した多くのメンバーは、配達という「読者への感謝」「手に取っていただく感謝」をリアルに体験できる機会がなかった。

感謝無くして良い誌面など作れるはずもない。

コスト優先の経営を深く反省して、再びスタッフによる配布をスタートさせたのだ。ただし、業者さんには継続してお願いして、年間でひとりが2〜3回のペースで当番が回ってくる形で。

余談だけど、配達業者の武田夫妻は本当に素晴らしい仕事でライトハウスを支えてくれている。配布だけでなく、ラック回りの清掃や他誌の整理整頓まで責任を持ってやってくれる。

ある休日、ヘアサロンで髪を切ってもらっていたら、

「ライトハウスです!!」

とても明るく元気な声でライトハウスを抱えた武田さんが走って店に入って来た。

こんな気持ち良く配る人が来たら悪い印象を持とうはずがない。こういう人たちのおかげでライトハウスは成り立っている。心の中で何度も手を合わせた。会社はちがえども本当のパートナーだ。

話はもどる。

近所のレンタカー会社で大型のバンをピックアップして、来週からサンディエゴの責任者として赴任する浅倉と印刷会社へ向かう。配達当番は、配布地域もパートナーも毎回変わるようにしている。

印刷所に入った途端、懐かしいインクの匂いが鼻の奥に広がる。フォークリフトでパレットごとライトハウスを積み込んだらさあ出発だ。両腕をぶるんぶるん回してバンに乗り込む。

ライトハウスのTシャツ。(束を括るビニールロープを切るための)はさみをポケットに刺して軍手をつけたら気分も盛り上がる。

窓を開けて、地面のデコボコを拾って、青空のフリーウェイを走るのも悪くない。

浅倉と二人、配布ポイントに着いたら手分けして走って配る。店にはとびきりの笑顔と大きな声で入る。飲食店ならみんな振り返るくらい元気に。まず他誌を整頓して、ライトハウスを置いて、ゴミを拾ったら、最後にもう一度大きな声で「ありがとうございます!」で店を後にする。そう。史上最強の配達マンなのだ。

配達ルート上で新しい日本の看板を見つけたら、ハンドルを切って店に飛び込む。即、新しい配布ポイントとしてどうか、広告掲載の可能性はないかチェックする。89年にスタートした頃から基本は今も変わらない。

会社に帰るとメンバーが気持ち良く労ってくれる。

「おかげ」で成り立っている会社だと実感できる一日だった。