新しい東京オフィス

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日曜日のトーランスの剣道場から書いている。

今日は先生方から、剣道の心構えやあいさつの仕方、道具の手入れ、袴のたたみ方など一日講習を受ける息子の付き添いで来ている。

ボクは何の役にも立たず、道場のはしっこの方で朝からメールの返事を書いたり、企画書や稟議書に目を通したり一日ここで仕事をしている。

ようやく明日の仕込みも一段落したので、今日は前回の出張中のことを書いてみたい。

今回の出張中に初めて、LCE(ライトハウス キャリアエンカレッジ)の新しい東京オフィスに行った。

これまではテンポラリーで、知人の日本橋にある事務所を間借りしていたのだか、設立から3ヶ月経った先月、ようやく新宿に自分たちのオフィスを構えることができたのだ。

間借りをしている間も、大家さん側の社員さんが、われわれメンバーが肩身の狭い思いをせぬようとても良くしてくださったのだが、いつまでも厚意に甘えるわけにはいかないし、いよいよ手狭になって来たので今回引っ越した次第。

それにしても、人もモノも揃わない設立時に、物心両面で受入れてくれたのは本当に助かったしありがたかった。心から感謝である。

新オフィスに初めて訪れたのは2月25日の日曜日。

その日は家内の実家の四日市を早朝に出て、品川で社長の高畠と合流して、山手線を新宿に向かった。電車の中では嫌がうえにも期待が高まっていく。

新しいオフィスは甲州街道沿いの駅から5分(やや早足)に立地する。
ちょうど、新宿パークハイアットホテルの向かい側。都庁や高層ビル群は歩いてすぐのところだ。

JR新宿駅南口を出て、甲州街道沿いに西新宿に向かって歩く。

道が広いおかげで空も広い。
空が狭いと息苦しくなるボクには実にありがたい。

その日は冬に逆戻りしたような寒い日だったけど、その分うんと雲が高くて、いつまでも眺めていたいような清々しいキッパリとした青空だった。自然足も軽い。

オフィスのあるビルは、西新宿の高層ビルに比べたら、鉛筆のように小さくて心許ないけど、立ち止まって地面から見上げると感慨深いものがある。ここがボクらの東京の城だ。

LCEのオフィスは、4階のフロアすべてのスペースを占有している。
狭いエレベータが開いて、ドアの前の表札を確認したとき、胸の奥の方が熱くなった。初めて訪れた場所に、(当たり前なんだけど)自分たちが創った会社の表札がある。

ドアを開くと、内装工事を終えた真新しいオフォスがあった。

メンバーのデスクのある大部屋、大小のミーティングルームが3つ、大きい会議室の遠隔会議用のモニターがカッコいい。

家具は中古を含めて、竹内やメンバーが上手に調達してくれたおかげで統一感がある。

本当にこの数ヶ月は、事業を急ピッチで推進せねばならないし、限られた合間をぬって、日本橋、浜松町、渋谷、新宿と条件に適いそうな物件があったらその都度竹内やメンバーが足を運んでくれた。行ってみたらボロボロだったり、決まったと思ったら流れてしまうことの繰り返しだった。

一方で家具や備品についても、ほとんどゼロから揃えなくてはならない中、メンバーができるだけ余計なお金がかからぬよう工夫して、ムリをおして準備してくれたのを知っているだけに、感謝の気持ちでいっそう胸が熱くなった。

うれしくて涙腺が緩んできたので、窓を開けて広い甲州街道を流れる車をしばらく眺めていた。

そして思った。

こんなメンバーの集まりだからこそ、近い将来一等地に引っ越して、みんなと会社の成長を喜びたい、そして新宿のあそこが原点だったと言えるように早くなりたいと。

その翌日、高畠とボクは夕暮れの東京駅の丸の内側を、有楽町の方に向かって歩いていた。

このあたりは再開発が進んでいて近年新しい高層ビルが林立している。もとより区画も広く取っているから、もともとあった重厚な建物との調和がうまく取れていて街全体に落ち着きがある。人は多いのに不思議と猥雑でないのだ。

「ターさん、あのビルどうですか。いや、あっちのほうがエエかな」

「どっちもエエなあ。コミヤマさん、このあたりにいつか引っ越したいなぁ」

「うん。日本の真ん中、東京駅の前のあのビルがうちです、って!」

「このあたりはアクセスもいいし、社会人にも学生にも、まして地方からの人には最高の場所やなあ」

「ついて来てくれている日米の社員も、ここに引っ越せるようになったら大喜びしますよ。それに、LCEの登記や就業規則ができる前に、新卒で入るのを決めた小阪さんや上村くんのお父ちゃん、お母ちゃんも大喜びしてくれますよ。早く見せたいなあ。

それと、子どもたちにも見せてやりたい。ともちゃんと大ちゃん(高畠の長女と長男)もビックリしますよ。お父さん、カッコええって。そら、鼻高いですよ」

ふたりして力強く頷きながら、まだ寒い東京を足早に歩いた。