おだやかに過ごす週末

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週末に日本から帰ってきた。実に一ヶ月ぶりの更新です。

時間軸を逆行しながらこの一ヶ月を振り返りたい。

まずは静かに過ごしたこの週末から。

日本での3日間の出張では、時差ぼけと忙しさで9時間しか眠れなかったおかげで、成田を離陸したトタンに熟睡。ウトウト目覚めた時には着陸の準備に入っていた。このくらい眠れると実に爽快だ。

以前に、海外出張が多い年配社長が「時差ぼけにならないコツは、前の日にあまり眠らないで、飛行機では一切アルコールも食事も採らないでひたすら眠ること」と言っていたけど納得。カラダが実に軽い。

家内の出迎えで会社に直行。急ぎの用事を片付けて自宅へ帰る。

ボクは出張から帰ると、まずカンペキに荷物を片付けをしないと落ち着かない。洗濯物とクリーニングを振り分け、資料を整理して、細かいものは次回の出張に備えて収納しておく。今回は編集者やデザイナーに読んでほしい本もどっさり買ってきた。会社にはこっち。年末年始に読む本はこっち。

そんなことをしていると、クローゼットの乱れが気になりだして本格的に整理整頓を始める。仕事着、遊び着、長袖、半袖、それぞれ納まるべきところに整頓。

やがて掃除の勢いは洗面所にも飛び火して、シンクを徹底的に磨いたり、パイプの流れをスムーズにする液体洗剤を流し込んだりし始める。

挙句の果てに、便器に手を突っ込んで、ピカピカに磨き上げたところで納得。

腕組みをしてひとりニヤニヤ。

几帳面な性格かというと、まったくその逆で、小学校の時には毎学期の終わり、PTAの案内や宿題、テストなどが石のように硬いパンといっしょに机の置くからグチャグチャになって塊(かたまり)で出てきたし、父親に殴られるまで、どんなに汚くても不衛生でも部屋の掃除はやらなかった。

おバカな過去はさておき、どうやら人間は人を好きになったり、社会に出たり、所帯を持ったりするうちに、自然と自覚が芽生えてそういうことも身につくような気がする。

午後は息子の仲間たちを連れて、話題の冒険映画「オラゴン」を観にトーランスへ。ハリウッド映画らしく、上映の後はゲームやグッズ、DVD販売をするモクロミが透けて見えるのだけど、それはそれで、ストーリーが単純明快で面白かった。クライマックスでもしっかり泣けた。

夜は友人の高津家と深夜まで鍋を囲む。日本で買った雑誌の、鍋特集の中から相撲部屋のちゃんこをこしらえたんだけど、なかなかの出来栄え。白菜ではなく、キャベツと豆もやしがクリーンヒット。ポン酢は「オタフク」を推したい。

今回の日本では、高津さんからの紹介で、とても気持ちの良い若者に会うことができたのでお礼を伝える。素晴らしい経歴より、留学のために4年間デパートの惣菜でアルバイトを続けられたこと、そして真っ直ぐ目を見て話す姿勢に好感が持てた。早ければ1月からライトハウスに仲間入りする。

高津さんとはお互いに、日本からの人がここでもっと就職できる環境や世の中を創りましょうと語る。こういう夢の話は尽きない。

最後は良く覚えていない。良く飲んだことは良く覚えているのだけど。

目が覚めたら朝の10時だった。それにしても気持ちいいくらい良く眠れる。

この日は娘とデートの約束。

と言っても、彼女のクリスマスプレゼントを買うために、ダウンタウンのウェアハウスでやっているデニムのセールに行くんだけど。

「ライトハウスの広告を持っていったら、3ドルの入場料が無料になるの」と娘は2冊のライトハウスを持参。

ゆっくり行ったのに、会場のコンベンションセンターでは行列ができていた。

受付けのところには、現地(英語)メディアの広告の束に、ライトハウスの広告がけっこう混じっている。なかなかいいぞ。

広い会場には、ざっと日本人が100人前後いる感じ。ひとり200ドルの客単価と見て、一日で200人くらいの日本人を動員しているとしたら、日本人売上が約4万ドル。「1回1200ドルのハープページ×数回」の広告掲載はまずまずのコストパフォーマンスか。大量のデニムを抱えた業者らしき日本人もいたから、けっこう良い商売になっているようだ。

若者に混じって、無造作に並ぶデニムを選ぶという作業はやや気後れするけど、これもひとつのお祭りと割り切って楽しむ。

数百ドルのデニムが100ドル以下で買えるんだから若い人たちが夢中になるのもわかる。単に安いだけでなく「デザイナーブランド」が「大量にある在庫から選べる」ことも大きな魅力なんだろう。なんてオジサンぶっておいて、しっかりディーゼルのデニムを2本購入。娘と戦利品を手に笑う。

夕方は、剣道のクリスマスパーティから帰ってきた家内と息子が合流して、UCLAでやっている前衛的なお芝居を見に出かける。これは残念ながら何が面白いのかわからず中座する。こういうこともある。

余談だけど、今年観にいった演劇部門のベスト3で言うと、

1番はロンドンで見たミュージカル「マーマミア」。何回でも見たいくらい楽しい。

2番はラスベガスの「ラブ(ビートルズ)」。酸っぱいような遠い記憶が一曲ごとに滲み出てくる。

3番はステープルズセンターの「ワールドアイスショー」。金メダリストの荒川静を始め、世界のオールスター夢の共演。もう生身の芸術という感じ。圧巻。彼ら彼女たちが天才にして、気の遠くなるような稽古を積み重ねてきているのを知っているから手を合せたくなるくらい感謝の気持ち。努力は美しい。

スポーツに目を向けると、早稲田実業の斉藤くんと、苫小牧の田中くんが快投を演じた日米高校野球はバッサバッサの三振ショーで実に頼もしかった。おじさんも打席に立ちたかったよ。投げたかったし。

また全日本選抜チームが、(背水の陣から)世界優勝へのキッカケになったアナハイムスタジアムでの日本選抜×メキシコの試合も素晴らしかった。

来シーズン、この世界大会をMVPで飾った松坂にはぜひ大活躍してほしいけど、何よりメジャーで日本人が活躍する道をつけた先駆者野茂に、打ち込まれてもいいから、三振を取れなくってもいいから、最後に彼が納得のいくマウンドに立ってほしい。アメリカに住む日本人がどれほど彼に勇気をもらっただろう。誇りに感じただろう。今年は不本意なシーズンだったと思うけど、それもこれも含めて今年も野茂に感謝したい。