旧友と再会へ

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早起きして寝室のある二階の窓を開き、薄やみに目を凝らすと梅の花が咲いている。大事な一日の始まりだ。

朝食は、朝から伯母がサザエを焼いてくれた。
次々と酒の肴みたいなおかずがテーブルを埋める。
頭を冷たいビールがよぎったが、親父の手前、お茶でいただく。

「父ちゃん、この間連絡がついたって言う学生時代の二人の旧友の電話番号、自分で持っとるん?」

「いや、ない」

「・・・・・。」

「電話帳に載っとるじゃろ」(人ごと)

いかん。親父は明日できることを明日に延ばす。今しかない!

すぐに電話帳で調べて、親父のいるところで電話をかけた。

一件目の友人は、奥さんらしき人が出て、漁に出ていて不在とのこと。

受話器を置いて二人目に電話すると、それらしき人が電話に出た。

「あっ、コミヤマです。コミヤマヒロシの長男です。すみません、ちょっと待ってくださいね」

洗い物をする親父の肩越しから携帯電話を渡して、

「父ちゃん、Aさんに電話つながったで!」

親父がでっかい声で「おぅ、コミヤマですが」を携帯の受話器を握りしめた。

「ヒロシくんかね!」受話器からAさんの声が漏れる。

短い会話の末、「近いうちに一杯やりましょう」と親父がいつもよりやや甲高い声で会話を終えた。

なんで具体的な日程や場所をその場で決めないのかやや不満だったけど一歩前進なのだ。