片山晋呉プロ

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一昨日の3月1日。
眩しいくらいの晴天のもと、ライトハウス創刊20周年記念イベントの第6弾「(日本ツアー賞金王)片山晋呉プロに学ぶ!ジュニア・ゴルフクリニック」を開催した。

片山晋呉プロは、ゴルフファンならご存知、弱冠36歳にして日本ツアー賞金王5度獲得、日本ツアー通算26勝(ツアーシード7人目となる永久シード獲得)、世界ランク31位(09年1月12日の時点)の誰もが認める日本のトッププロ。

そんな現役一流選手の指導が受けられると、北はバレー方面、南はサンディエゴから、将来はプロを夢見る(!?)親子120名あまりが、アーバインのワンゴルフクラブに集合した。

イベントが始まり、まず主催者としてボクが参加者のみなさんにあいさつをさせていただく。

子どもたちを前に、いつもとやや勝手が違う(そう、運動会の開会式みたいな感じ)。3歳から17歳のゴルフキッズはみんなあいさつも明るく元気で、こっちもうれしくなる。

やっぱり相手が大人であっても子どもであっても、直に笑顔や感謝の声にふれられるのがイベントの醍醐味だ。イベントの何倍もの時間をかけて準備してきたスタッフが報われる瞬間でもある。

アリゾナのマッチプレーを終えて、前日にロサンゼルス入りした片山プロは、イベントが終わったらその足でフロリダに飛び、今週のHONDAクラシックに参加する。試合後もそのままアメリカに残ってツアー参戦し、来月はいよいよオーガスタが待っている。

そんな忙しい合間をぬって、子どもたちのために、またライトハウス20周年記念イベントのために駆けつけてくれたのだ。片山プロや関係者のみなさんには感謝が尽きない。

続いて参加者の大きな拍手で迎えられ、日焼けした精悍な顔の片山プロは子どもたちにやさしく語りはじめた。

「ぼくは3歳でゴルフを始めてから今日までゴルフがずっと大好きです。

親からは一度も練習しなさいと言われたことがありません。

中学や高校の大会では、負けると親から激しく叱られる選手がけっこういました。だけどそういう選手はやがてゴルフが嫌いになってゴルフから離れていきました。やらされてやるゴルフは楽しくないし強くなれません。

ぼくはどんなに厳しい練習も苦しいと思ったことはありません。好きだからです。好きなことをやり続けたからぼくの今があると思います。」

ゴルフの話だけど、そっくり仕事や人生にも通じると思った。深い。

親にやらされる勉強も、上司の命令でやらされる仕事も、本人の身につかない。

地味で辛い稽古も、受け身ではなく、意味とか意義を自らが考えて、主体的に取り組むことで決して苦痛ではなくなる。やっぱり本人の目的意識だ。

アドバイスの後は、初級、中級、上級のグループに分かれて、片山プロが順番にひとりひとりアドバイスをしてくれる。それもひとり3分から5分もかけて。

片山プロは決して偉ぶらない。真剣な表情で、子どもたちのグリップの握りやスウィングの軌道、スタンス、ボールとの間合いを手取り足取り教える。

 

始めた時以来スランプ(それはスランプとは言わないけど)のボクは、よっぽど子供服に着替えて並ぼうかと思った。

全員のレッスンを終えて、片山プロの最後のあいさつにまたしびれた。

「キミたちがゴルフをできるのは、キミの道具を買ってくれて、送り迎えをしてくれて、ゴルフができる環境を作ってくれているお父さんやお母さんのおかげです。決して親への感謝を忘れないで」

「はい!!」

って、ボクが応えちゃったよ。

レッスンの後、すべての家族との記念撮影やサインも、疲れた顔ひとつ見せず最後までていねいに対応。時にぶっきらぼうな質問にもていねいに応える。

そんな中、順番が回ってきたある参加者が、子ども(孫?)に、

「あんた、どうする、サインしてもらう、やめとく?どっちでもええの?」

敬意のカケラもない年配女性のマイペース・マイワールドの関西弁に、一瞬空気が凍ったけど、プロは一切イヤな顔をせず、サインに応じていた。

「やっぱり苦労人はちがうなあ」

となりのオジさんが腕組みをして感心していた。

多くの参加者親子が晴れ晴れとした表情で会場を後にした。

無事イベントを終えて、飛行機までのわずかな時間、ランチをごいっしょした。

*左から、うちの片山、片山プロ、西川、込山

訊いてみたかった質問をプロに投げてみた。

「日本と欧米、とりわけアメリカ国内は最大6時間も時差がある中で、時差ボケや体調管理はどうされていますか?」

という質問に意外な答えが返ってきた。

「移動の多い生活に時差は身体に堪えます。決して慣れることも秘策もないです。その土地の時差に慣れた頃に移動、移動して疲れているけど眠れない日が何日か続いて、やっと慣れた頃移動。時々、目が覚めるとどこにいるかわからないこともあります」

決して弱音ではない、でも過酷なプロの日常の一端を垣間見た気がした。
それと同じくらい、ひとつひとつの質問に真剣に丁寧に答える片山プロの人としても謙虚さや実直さに感心した、いや、惹かれてしまった。
この方は、人としてもピカイチなんだ。

片山プロとお別れの握手をする時、わずかな指先の感触に影響がないよう両手でやわらかく握ったら、チカラ強い両手の握手が返ってきた。

ファンになってしまった。