息子

NO IMAGE

うれしく、楽しいことの多い盛りだくさんの週末だった。

ひとつは、息子の玄(はるか)が、サンノゼで開催された剣道大会の個人戦(14−17歳の部門)で優勝したこと。

息子は、昨夏の全米選手権大会のために南カリフォルニア代表チームに選んでももらった後、今ひとつ調子が上がらず、トーナメントでも入賞の手前のところで敗退を繰り返していた。傍目で見ても、キレや粘りがなくなっていくのを感じた。

その一方で、サッカーやジャズバンドに傾倒していく息子を眺めながら、ボクは少し複雑な気持ちでいた。

「やらされてやるものは上達しないし、シアワセにならない。だから強要はしない」

つい先日、ゴルファーの片山晋呉さんが「親にやらされてやっている子は残らない」と言っていたとおり、ボク自身、剣道、習字、塾、そろばん、それからオルガン、ウクレレに至るまで、親に押しつけられて(いや、機会を与えてもらっても)なにか続いた試しがない。それは苦痛以外の何ものでもない。

(やらされてうまくいかないのは、人生や仕事に置き換えてもまったく同じことだ)

そんな自分の苦い経験から、強要せず、再び性根を入れて取り組むことを期待しながら息子のことを見守っていた。
また、カミサンは、息子が練習に行っても行かなくても、竹刀係のボランティアのために道場に黙々と通った。

息子の方はいえば、そんな思いはどこ吹く風のハッピーくん。

負けて悔しがることもなく、楽しげに剣道には通っていた。

それが最近になって少しずつ調子を上げてきて、前日の練習試合では、アメリカ代表チーム(成人)の女性剣士に勝つことができた。

ボクは親バカ代表だから、ほんの少し期待はしていたのだけど、14歳の中でも1番チビの息子が、17歳の大人並みの体格の連中に、そうそう勝たせてもらえるとは思えなかった。いや、思わないようにしていた。

だからヨロコビも100倍大きい。

ボクが生きている間は、こうして本人の知らないところで気を揉んだり、大喜びしたりを繰り返すのだろう。

そして、何か相談や頼りにしてきた時のためにスタンバイし続けて、きっと待ちぼうけを食らうのだろう。

親になって親の気持ちがわかる。

ひとまず、優勝。ありがたい。

真っすぐ育てよ。ずっと健康でいてくれよ。頼りない息子よ。