ビリーとオーケストラ

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週末は二日続けてカミサンとコンサートに行った。

土曜日はビリージョエル。

結婚20周年祝いにメンバーからもらったチケットで、息子のサンノゼの剣道大会にも同行せず、大好きなビリーのコンサートを行けるのを心待ちにしてきたのだ。

コンサートの前の日。

「チケットなくしてないよね」とカミサン。

当たり前だよと、財布にしまっておいたチケットをカミサンに渡す。

「ところで会場どこ?」

「ノリスシアター(うちの近所)って書いてあるよ」

「そりゃ便利でありがたいなあ。だけど、ビリーがうちの近所に来るかよ。300人ちょいしか入らんだろう」

「あれ!よく見たら、“ビリージョエルを讃える”みたいなこと書いてあるよ。どういうことかしら」

 

で、当日。

ボクらは一番前のまん中の席だった。果たして世界のスーパースターが、近所の小さなホールに来てくれて、その最前列のまん中の席が取れるものか。それってコネ?それってラッキー?宝くじよりありえないような話だ。

ステージのまん中にピアノ。バンドの演奏が始まってしばらく、ステージの裾から颯爽とビリーが飛び込んできた。黒いジャケットにサングラス。てっぺんが寂しい髪型もそのまま。

だけど、ちょっと小柄で、体型もふつうのお父さん。

ナンチャッテ・ビリー!!

ピアノを奏でながら歌い始めるも少し声は緊張気味。ちがう意味で心配になる。

期待と失望、どっちにも転がりそうなビミョーな空気を、お祭りモードに押し込んだのが会場のオーディエンスだった。

ビリーが不憫な思いをせぬように思いやったか、はたまたせっかくなら楽しもうという精神か。

観客が盛り上げるほどにビリーのテンションもあがり、歌も演奏も冴えに冴える。すべてが懐かしのナンバーで、時間の経過とともにステージがどんどん会場と一体化していく。

それもアリなんだ。

ニセモノでもモノマネでもない、ビリー大好きコピーバンドとして、人を喜ばせて、さらにそれでメシが食えているのだからスゴイ(ちなみにチケット代45ドル)。

在米23年目にして新しいアメリカとアメリカ人の懐の深さを知った。

 

いや、本当に楽しいコンサートだった。

 

もうひとつは、ボクら地元のオーケストラ、アジアアメリカシンフォニーのユース部門のコンサート。アメリカ社会でも立派に有名な音楽家David Benoitが音楽ディレクターを務め、指揮者として、ピアニストとして、毎回素晴らしい演奏を楽しませてくれる。

ユースと言っても侮るなかれ。十分に大人の鑑賞に堪える演奏家の集団だ。

この日の前半は、ボクが聴いても知っているクラシックの名曲を、曲ごとにデビッドがアレンジして、バイオリン、アルトサックス、アジアンフルートのソロイストとのセッションで演奏してくれた。

インターミッションを挟んで後半は、ガラリと趣向を変えて、映画でお馴染み「ミッション・インポシブル」や「シンプソンズ」、「セサミストリート」を、ベースギターやドラムも混成して、ジャズのテイストで聴かせてくれた。

ボクは音楽のことはよくわからないけど、美しい音楽には、心が激しく揺さぶられるし、やさしい気持ちになれるし、洗濯をしたような清々しい気分にしてもらえる。

昨日に続いて音楽って良いなあと感激。

そして地元に応援するオーケストラがあるボクらは本当にシアワセだと再確認。

 

感謝感激の週末であった。