デザートは先に出さないで

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今朝は、うちの社屋の2階で7時半から(南カリフォルニア日系)商工会議所主催の名刺交換会をやっている。朝早くから50人くらいのビジネスマンが集まって、活発にネットワーキングに励んでいる。

ロサンゼルスは、この日商とJBA(日系企業協会)の2つの大きな団体があるんだけど、そのどちらも、会員企業やその家族が異国の地でうまくやっていけるよう様々な催しをしてくれている。

世界のあちこちの日系社会を見て回ったけど、事業を営む者にとって、このロサンゼルスはもっとも恵まれた都市のひとつだと思う。感謝すべきことだ。

一方ボクらは、1階の社長室で営業メンバーを集めて、後半戦に向けて、個々人のシフトチェンジとパワーアップを呼びかけた。

「お願い営業」は営業マンが摩耗してしまう。
「値下げ競争」は消耗戦で誰もが疲弊してしまう。

だから、謙虚さや礼儀正しさの範囲を超えた、みっともない姿勢はさせないし、言ったもん勝ちみたいな値下げ要求は請けない。

じゃあ、キレイごとでなく、どうやって我々の存在意義を見いだし続けるのか。

モノを作れば売れた時代はとっくの昔に終わってしまった。

日本語で対応できるだけで、ありがたがられて商売が成り立つ時代でもない。

ましてや、日本語の対応すらままならないクライアントを、どうやって繁盛に導くか。

商品(サービス)力、価格競争力、立地、人材、資本力、すべてがバッチリ揃っているお客さんなんてなかなかいない。企業も人間と同じで必ず得手不得手がある。

例えるなら、広告営業って、お客さんの冷蔵庫に入っている限られた食材で、実現できる最高最善の料理を作る共同作業だ。とてもクリエイティブで、豊富な知識と経験が求められる。

その豊富な知識も経験も十分ではないメンバーだからこそ、必死でアンテナを張って勉強をしてそれを補わなくてはならない。

広告が売れるのはプロセスや結果であって、目指すのはお客さんの商売の繁盛なのだ。相手がその「商品(サービス)」のプロなんだから、こっちは「日系社会」という「市場」のプロでないと話は噛み合ないし、相手の業種についても、対等に話せるくらいの知識を身につけなくてはならない。

その上にさらに、

目の肥えた現代の消費者を振り向かせる「企画力」や、それを実現するための「表現力(デザインやコピーのチカラ)」、広告主との「調整力」が求められるのだ。

本を読め、新聞を読め、本屋に並ぶ雑誌の表紙を眺めろ、お客さんの声に耳を澄ませろ、全身をアンテナにしろ、そんな思いを伝えた。

日々の自己研鑽と地道な努力の積み重ねのみが、我々の存在意義を見いだし続ける唯一の手段なのだ。

毎号の売上、その年の決算で成果を残すことは企業としての使命だ。
利益を上げてこそ、質を高め続けられる、メンバーを守り続けられる。不測の事態に備えられる。

しかしそれは、プロセスや結果であって、目指すのはお客さんの繁盛であり、メンバーの成長とシアワセなのだ。そこがブレなければ、最後に数字もついてくる。

その順番を間違えてはならない。

最初にデザートとコーヒーが出てきたら、お客さんはクビを傾げながらお腹を空かせて帰ってしまうからね。