硬いドーナツ

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肉離れから一週間。

すぐに氷で冷やしたのが良かったみたいで、ずいぶん回復した。
もうそろそろバイクもいけそうだ。

昨日は朝と晩、プールで感触を確かめるようにして泳いだ。

今朝も家族が目覚める前に、9ホール回ってきたけどちっとも痛くない。

ハワイの社員旅行では、地元チームとソフトボールの対抗戦があるのだけど間に合いそうだ。

ゴルフから帰ってきて、靴磨きと便所掃除をした。

毎日、幅広のペリカンみたいなボクの足を包み、重たい身体を支えてくれる靴。
こうしてたまに、キュッキュッ、キュッキュッと磨いてやると靴も機嫌が良さそうに見える。いつもご苦労さん。

便所も、雑巾で手を入れて、便器の裏側までピカピカに磨きあげると、不思議なもので心まで清々しくなる。

子どもの頃、おふくろがしょっちゅう便所をピカピカに磨いては「便所のキレイな家と、人がよく来る家は栄えるんよ」と言っていた。

少し歳をとって、おふくろや昔の人が言ってた、退屈すぎるくらい当たり前のことが、実は真理であることに感心する。

天動説を体現するような破天荒でマイワールドな母親だけど、良いこともいっぱい教わった。

ボクら親子は弟が生まれる前は、風呂もない、お湯も出ないような長屋暮らしをしていた。

新聞チラシの10円のキャベツを求めて、気が遠くなるような距離を、おふくろはボクを乳母車に乗せて大遠征していた。

毎日がビンボー大作戦だったけど、工夫に満ちた生活で、よくドーナツや手づくりの菓子をこしらえてくれた。

近所のビンボー友だちが大勢で遊びにくると、ちり紙にビスケットや飴玉をくるんで等しく持たせた。当たり前のことなんだけど、よその子も自分の子も決して分け隔てしない親だった。

それにしても、あのドーナツはどうしてあんなに硬かったんだろう。

大きくなってお店で食べるどのドーナツも失敗しているのかと思っていたら、我家のドーナツが独自製法だったようだ。