さらば週刊文春

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椎名誠さんを始めとするエッセイや阿川佐和子さんの対談(以前はエッセイも書いてた)が好きで、週刊文春はアメリカに来て自分の金で買えるようになってからずっと定期購読をしている。

小学校の頃には、親父が読んだ文春と新潮がいつも身近にあって、ヌードグラビアもない何となく硬派な誌面をぼんやりと憧れていたのを覚えている。

ライトハウスを創刊して間もない頃「文春のように面白いエッセイが毎号入っている情報誌にしたい」と公言したし、出来不出来はともかくそういう誌面づくりをした。今は現場のメンバーが采配しているけどその流れは継承されている。

そんなボクの公私に渡って40年近くもお世話になった週刊文春だけど今回号を持って定期購読を止めることにした。

グラビアを開くと、2年前の酒井法子の楽しそうな夫婦の写真に「シャブ夫婦 再び」と太字。まだ言うか。そのくどさにゲンナリしつつもページをめくる。

特集記事は、鳩山幸夫人の元ダンナの実名告発で「私を裏切った由紀夫くんと幸へ」だって。「不義理な略奪愛 新首相の資格を問う」と。さらに右肩には「徹底身体検査」とある。中見出しは「間男に総理は務まらない」と。

血が凍った。許せない。政治と全然関係ないじゃないか。問われるべきは政治の手腕であって、私生活は関係ないし知りたくもない。

ボクは民主党でも自民党でも国を再生してくれるならどっちだっていいけど、何で日本のマスコミは本質とまったく関係のない話を引っ張り出してきて足を引っ張るんだろう。

こんなくだらない記事、それも一番卑劣な片方の言い分だけ持ってきて、新しい首相を国民が毛嫌いするように仕向けてどうするのか。どんな人のまわりにも100人いたら面白く思ってない人は必ずいる。政治で上り詰めた人ならことさらだろう。よく思っていない人を探し出して取材して、煽って悪意をこめて導いたらどんな記事だって仕立て上げられる。それって、誇れる仕事だろうか、親や子や親友に恥ずかしくないだろうか。その強い影響力をどうして建設的な方に向けないか。

ボクは政治の世界はわからないけど、今、鳩山さんも民主党も、言ってみたら「新米」がこの国を再生させようと必死で頑張っているのに、どうしてそういうところで水を差すのだろう。

今、日本という船は本当に転覆するかも知れない危機なのに、どうしてもう少し温かい目で見守れないのだろう。雑誌が売れたらいいのか。

どうして影響力のあるマスコミなのに、国民が良い方向にベクトルを重ねるような記事を書けないか。そんな卑しい記事を書くために賢い大学を出たんじゃなかろうに。

文春がずっとお手本だったし好きだっただけに情けない。
でも、この記事を見て“ぷつん”と心が離れた。もういい。

小さな抵抗だけど、日本のためにこんな下劣な記事を載せる本を買ってはいけないと思う。