アイフォンで眠気を吹き飛ばせ!

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日本での仕事は納得のいく成果をあげられた一方で、初日からの呆れるチョンボにキモを冷やした。

バカ話におつき合いください。

日本入りした火曜日の夜は、成田に着いたその足で六本木のインターコンチネンタルホテルに直行。業務提携を検討している老舗のオーナーさんと会食をごいっしょするためだ。

期待通りオーナーさんは尊敬すべき立派な方で、話も弾み週明けに再度話し合いを持つ約束をして別れた。幸先良いぞ。気持ちが高揚したまま、役員の竹内とライブハウスに寄り道して、ホテルに着いた時には時計の針が翌日になっていた。
竹内とは同じ会社(LCE)を経営していても、おたがいに忙しくて年に何時間くらいしかサシで話せない。そんな中、こうして音楽が好きなボクに温かい心づかいをしてくれてすごくうれしかった。

翌朝は飛行機が早いので、5時に起きて羽田空港へシャトルバスで向かう。道も空いていて出発時刻の1時間半前にはチェックインできた。いつもはギリギリに空港入りすることが多いのだけど、この日に限って早めに出発したのが後で幸運につながる。

荷物のチェックを終えてゲート前の売店の温かいうどんをすすって一息。

ここでチョンボに気づく。

待ち時間の間に、アイフォンで貯まったメールの返信をしようと、ズボンのポケットをまさぐると空っぽ。

反対のポケットも、胸ポケットも、ジャケットも、バッグの中も、どこを探してもない。ない。ない。ない。天井をにらむ。

部屋は出る時確認したし、シャトルバスの座席も確かめた。

えらいこっちゃ!

今回は日本だけでなくアジアやヨーロッパを回るのに、アイフォンがなくなったらメールも電話もできない。それじゃ仕事にならない。

最後にアイフォンを使ってからここまでの記憶を何度も辿る。

「!」

ホテルのチェックアウトをして、シャトルバスを待つ間、ビジネスセンターでPCを使ったあの時だ。

急いでホテルに電話する。

事態の大きさを察してくれて、フロントの女性が受話器を置いて走る。待つこと数分。

「ありました!PCの横にありました!」

フロントの女性の弾んだ声。

時計を見ると出発までにすでに一時間を切っている。

「次の便のシャトルは何時ですか。そのシャトルの運転手さんに携帯を持ってきていただくことはできますか。私はいったん外に出てバス停で待っています。もしも間に合わなくても心配しないでください。大丈夫。その時は何とかしますから」

受付の女性がいっしょになって心配してくれるのが受話器越しに伝わってくる。

ここが「日本」なんですね。

結論からいうと間一髪セーフ。

透明のビニール袋に入れたアイフォンを手渡してくれたシャトルの運転手さんにボクは何度もお礼を言った。

朝早いのを見越して空港の側のエアライン系のホテルに泊まったこともあるけど、何より何よりホテルスタッフの誠実で迅速な対応のおかげだ。近頃は過去に会社を食い物にした経営陣の不始末で、日本中の非難に晒されているエアラインのグループだけど、現場を動かしている人たちには罪はないし、その仕事の質は極めて高い。今回もそのホスピタリティに助けてもらった。

はてさて。
そんなことで、初日から眠気も吹っ飛ぶ幕開けとなった。

1にパスポート、2に財布、3にアイフォン。カバンやスーツケースごと忘れることもあるボクだけど、今回はどうか無くなりませんように!って他力本願。