メディアアライアンス(上海手打ちラーメンの巻)

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11月15日日曜日。一面がガラス張りの壁の向こうには曇り空の太平洋が広がる。
空と海の境界線は曖昧で、そのまん中を大きな貨物船が南下している。

ボクは今、上海の浦東空港のラウンジでロンドンに向かうブリティッシュ航空の登場時間を待っている。

上海でのワールドメディアアライアンス(WMA)は、期待以上の収穫を得ることができた。

WMAとは、世界各地で日本語メディアを発行する経営者の集まりで、おたがいの持つ経営ノウハウを学び合い、ともに経営やメディアを磨き合うことで、ひいては「世界各地の日系社会をよくしていこう、世界中で個人が企業がもっと活躍できる世の中を創ろう」という同志の集まりだ。

ボク自身21年も日本語メディアの経営をしているので、あらゆる面で改善と工夫を重ねてきたつもりでも、各地域のトップランナーを走る仲間たちからたくさんのことを学ばせてもらっている。

とりわけ今回は、「上海ジャピオン」の若き経営者片岡さんをレクチャーから学ぶことが多かった。やり手と評判は聞いていたけど、IT業界出身の片岡さんはすべてのフローをシステム化することに長けている。

例えば広告費の回収ひとつをとってもノウハウのデパートで、回収率は限りなく100%に近い。うちも98~99%の高い水準ではあるものの、個々人の努力の上に成り立っているところが大きく、片岡さんの話を聴いているととてもシステマチックとは言えない。

またここには書けないけど、査定やカウンセリングのノウハウも学ぶべき点が多かった。あつかましくも、おねだりして人事のエッセンスとも言える業務ごとの評価シートをいただいた。もうボクは片岡さんに5、6年頭があがらないだろう。

比較的歴史の浅いバンコクでナンバーワン「ワイズ」の代表の西岡さんの吸収力は凄まじく、毎回この集まりでコレと思ったネタは、帰国してすぐにさらに改善を加えたカタチで新メディアの発行に結びつける。みんなには「パクリ」と冷やかされるが、その行動力に実はみんな一目置いている。
また、こうして、みんなが持つエッセンスが各地で結実することもこの会の狙いのひとつだ。

2日目の午前中はコンシェルジュの代表の大西さんのリクエストで、同社の上海版の営業のみなさんにレクチャーをさせてもらった。

コンシェルジュは、この上海と香港、北京、大連でも日本語情報誌を発行するメディアグループで、他に中国人の富裕層向けのメディアなども発行している。

ここでは営業の姿勢とスキルの両方の観点から話をさせてもらった。
みなさん意欲的で熱心にメモをとるからこっちもチカラが入る。

夜は両日とも地元経営者やメディア関係者との熱き交流会。
中国大躍進のシンボルとも言える上海には、日本から野望を持ってきている若い経営者が多い。

 

ボクは冒頭のあいさつで、

「この上海でも、日本から来た人を食い物にするのではなく、応援して助け合う日系社会を創っていこう。世界中で個人や企業が活躍できる世の中になるよう私たち自らが創り手になろう」

そんな話をしたのだけど、共感してくれた若い方たちが最後まで途切れることなく話しかけてくれた。

夢中で仕事の様子を聞かせてもらったり、悩みや相談にのっていたら4時間近く経っていて腹がぺこぺこ。バフェのフードはとうに下げられていて、気の毒に思ったコンシェルジュの北京支店長の大樹さんがお好み焼きを持って来てくれた。多謝。

ひとりひとりと話せた時間は数十分だけど、心通う人がたくさんできた。

ボクはいつの頃からは自分をさらけられるようになって、人との距離が縮まるのが早くなった。

人生は有限だ。残り時間はどれほどあるかわからない。1日かも1時間かも知れない。それにあの世にお金も名誉も肩書きも持っていけない。せいぜいポケットに隠して缶ビール2缶くらいか。

だったら気取っても大きく見せても仕方がない。

人と向き合う時は、ただありのままの自分で、相手にしてあげられることを一生懸命考えればいい。自然と相手は心を開いてくれるし、相手が喜んでくれたりシアワセになったら、こっちもシアワセな気持ちになれる。

浦東空港に向かうタクシーはやはりハイビームとクラクションと急発進と急ブレーキを駆使するドライバーで、来た時の運転手にまた当たったかとミラーをのぞいたけど別人だった。やはりここは世界のベスト5だ。