世界の出会いと再会の中で

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ロンドンでも深夜まで人と会っているのに、朝の5時前後には目が覚めた。

考えたら、11月2日にロサンゼルスを経ってから、日本時間以降は、上海時間、ロンドン時間(ここのグリニッジが世界の標準時間なのだ。その180度反対側に日付変更線がありますね)と時計をもどしながら移動している。

よく地球を右回りに移動するより左回りの方が時差の関係でカラダが楽だと言われるけど、こうなってくると何だかわからなくなってくる。

出張中とくに気をつけているのが体調管理。

ムダなく、余裕なく、パツパツに予定を入れるので、途中で体調を崩すと後に響いてまわりに迷惑をかける。何より、すべてのアポイントが重要だから120%の自分を出し切りたい。80%の自分しか出せなくて「あの程度のヤツ、あの程度の会社」と思われたら悔やみ切れない。

だから、
例えば冬場だったら、まわりに咳をする人がいたら息を止めて逃げるし、逃げ場がなかったらマスクを引っ張り出す。時には目力全開で相手が後ずさりするくらい睨みつける。

人と会った後は必ず噴射式のノド薬をする。

タバコの煙は極力遠ざける。
カリフォルニアでは考えられないけど、日本やアジアでは煙草がまだまだエチケット違反にならないようで、気管支がすぐにやられてしまうボクにはそこがツライ。
だから、店を選べる時は煙草を吸えない場所を第一優先に選ぶくらい神経を使う。

食事も重要。
出張中は偏りがちなので、意識的に野菜やフルーツ、オレンジジュースを摂取する。
日本だとつい深夜のラーメンとかに心惹かれるけどグッと堪える。(たまに負けて翌朝落ち込むけど)

あと、小間切れの移動時間など眠れる時にできるだけ睡眠を確保する。

プロスポーツの選手が体調管理や道具の手入れを怠らないのと同様に、ボクらビジネスマンにとってもコンディションづくりとアポイント前後の予習復習は基本中の基本で欠かせないことなのだ。

話をロンドンの早朝にもどそう。

ロンドンはこの季節、外は7時近くまで闇に包まれたままだ。
静かな早朝の時間帯に、日中できなかったメールの返信やまとめ仕事をしているとお腹が空いてくる。

近所のデリの開店は7時。
店が開くのを待ちかねて、フランスパンのサンドウィッチとカプチーノ、それにオレンジジュースを買いに歩く。町を抜ける風は冷たいけど、上海で買ったユニクロのヒートテックの肌着と羽毛のジャケットのおかげで寒さは感じないし足取りも軽い。

上海では毎朝コンシェルジュの社長の大西さんや仲間と近所の食堂に行ってラーメンをすすっていた。

目の前で職人が小麦粉のかたまりを何度も引っ張っているうちにやがて細い麺でなっていく。それを大鍋に沸騰するお湯に放りこみ、いい加減のところでサッと湯切りして、牛肉を煮込んだ辛めのスープに手際よく入れてサーブする。

うまいんだ、これが。

それでいて1杯が10元(150円)くらい。大西さんは、このオヤジごと東京に連れて行って店をやりたいと毎回言っていた。
これに水餃子やトマトと卵炒めをみんなでつつくと朝からご機嫌さんだ。
上海は近代化に伴って物価がけっこう高いようだけど、一本路地に入るとまだそういう店が残っているのですね。

再びロンドン。

ロンドンでは日本語情報誌のトップ3の経営者を訪ねて歩いた。

WMAのネットワークをヨーロッパにも広げる目的と、もしもライトハウスのノウハウや力を必要としてくれるメディアがあったら、何らか経営に関われたらという思いを持っている。これはヨーロッパに限らず世界中だけど。

もうひとつは某社との業務提携のためのナイショの仕込み。
大人になるということはナイショが増えるということなのだ。くふふ。

イギリスとフランスとドイツで発行している日本語情報誌「ニュースダイジェスト」は、政治経済を日本語でわかりやすく解説した誌面づくりで、社長の森さん、編集長の永野さん、副編集長の村上さんが迎えてくれた。
誌面を良くしたい意欲に溢れていて、大量の質問に答えているうちに2時間くらいあっという間に過ぎた。まだまだ伝えたかったし、生意気ながらいくつかのポイントを強化したら面白いくらい伸びる余地のある会社だと思った。

ロンドンで1番広告が入っているのが「ジャーニー」。
元々旅行会社の駐在員の手島さんは、ライトハウスとほぼ同じ88年に同誌を創刊している。ヨーロッパ全体の進出企業のアジアシフトや縮小の影響もあって、近年は広告も減少しているそうだけど、その中にあって首位を堅守しているから経営基盤が1番しっかりしているのだろう。以前からヨーロッパの日本語情報誌の横綱という評判は耳にしていたけど、なるほどこのリーダーにしてという感じ。

話はまたまた飛ぶけど、
海外の日系社会では少なからず、購買力があって、日本語のサービス(商品)や付加価値に対してお金を使える駐在員や新生活者の存在は貴重だ。多くは日系の引越サービスを使い、日系で車を買い、接待やプライベートで日本食を食べ、時々日系のクラブで癒され、日本のスーパーや書店で買い物をして、日本の美容師さんに髪を切ってもらい、日経新聞を定期購読して、日本人のドクターに検診をしてもらい、日系の旅行社で里帰りや出張の手配をする。
そこで使ったお金がそこで働く人たちのお給料となってまたコミュニティにお金が循環していく。この循環していくお金こそが日系社会の「血液」だ。血液が毛細血管のすみずみまで流れてこそ、心身ともに健康な日系社会が維持できる。

これを世界で見ると、上海など勢いのある地域を除いて、ヨーロッパやアメリカの進出企業の撤退・縮小・アジアシフトが、駐在員の数や手当に直結し、日系社会の「血液」の循環にも少なからず影を落としている。それは日本語メディアの経営にも影響している。そう、日本や日本の企業には頑張ってもらわねばならないのだ。

話はロンドンのメディアの話に戻る。

3つ目はベイスポロンドンの社長の渡部さん。同氏と会うのは今回が2回目で世代も近いし話も合う。仲間だと思っているから、遠慮なく踏み込んだ提言やダメ出しをするけど素直に耳を傾けてくれる。これは温厚な渡部さんの人柄のおかげ。
「負けない経営」でいつの間にか3番手につけて、首位の座を虎視眈々と狙っている。経営者としては1番気が合って話も弾む。

ロンドンでは同業の経営者だけでなく、親友のふたりとも再会することができた。

ひとりは日経新聞の市瀬さん。
同氏が駐在員として西海岸で販売の責任者をしている時に出会い、その後香港駐在を経て、ヨーロッパ全体の販売を担う今もつき合ってもらっている。
99年当時から、日経新聞とライトハウスがタッグを組んで、日経新聞の購読者にライトハウスを同時配送で届けるというサービスを実現した立役者だ。日経新聞は読者に対してローカル情報を届けるという「付加価値」、ライトハウスは広告主に対して部数だけでなく「質の強化」でおたがいに補完し合った。
それがキッカケでライトハウスのシェア拡大にグンと弾みがついたから、人との出会いはつくづく大切だと思う。駐在員には稀に「会社の看板=自分のエラさ」的な人がいて笑いを誘うけど、市瀬さんは組織を超えて一生つき合える仲間だ。

もうひとりはアサヒビールの都築さん。
長年アメリカの社長を務めた後、2年間からヨーロッパの責任者としてロンドンに赴任。アサヒブランドを浸透させるためにヨーロッパの各国を飛び回っている。ボクとよく似た(ウソです)端正な顔立ちに、物腰は静かだけど熱い情熱と野望を秘めていてむちゃくちゃ芯が強い。
今回はアポイントがパツパツなうえに流動的だったから連絡できないでいたら、偶然その週末に都築さんと会った渡部さん(ベイスポ)の計らいで再会が実現した。

「次回はぜひスーパードライが飲めるパブを案内させてください!すでに500件のお店で樽生を扱っていただけるようになりました」

別れた後、熱いメールをいただいた。

市瀬さんも都築さんもヨーロッパに行っても大車輪の活躍なのだ。

メディアアライアンスの経営者仲間もそうだけど、世界に尊敬できる仲間がいるというのは本当にシアワセだ。
会った時に恥じない自分に成長していたいから高い志を持ち続けられるし、おたがいの苦悩もヨロコビも心から分ち合える。

まさに今回はそういう仲間が世界中にいるいるシアワセを実感する出張でもあった。

はてさて。

合間の時間に書き足してきた今回のブログも、長かった出張もあとわずか。
ヨーロッパからダラス経由であと間もなくでロサンゼルスに到着する。

直近の仕込みもできた。少し先の種蒔きもできた。あとは実行だ。

4年後(ライトハウスの創業25周年)くらい、世界中に、いろんなカタチでライトハウスが事業展開しているイメージを膨らませて、また明日から頑張ろう。
不在中会社を支えてくれたメンバーとともに。