稲盛さん、日航CEO就任に思う

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 会社更生法の適用で再建の道を歩む日本航空の経営最高責任者に、ボクが学ぶ経営塾(盛和塾)の塾長の稲盛和夫さんの就任が決まった。77歳である。

そのニュースにふれて、稲盛さんが現在のKDDIの前身第2電電を創業した時のことを思い出した。

通信回線の自由化に伴い、「世界でも異常に高額な日本の通信料金を下げたい」

その一点の思いで、巨大な独占企業NTT、その後名乗りをあげた国鉄や、道路公団・トヨタ連合を向こうにまわし、まだ当時は今ほど大きくなかった京セラのトップの稲盛さんが名乗りをあげた。

「動機善なりや、私心無かりしか」

決断に至るまでの半年間、毎日毎晩自問自答して決断されたそうだ。自分の欲や名誉のためではないか、本当に自分は世の中のためを思っているのか、そこに私心はないか。

結果は周知の通り。

鉄道や高速道路を利用して、自前の通信回線を持つのにはるかに有利な国鉄も道路公団もとうにステージから姿を消した。資金力でも設備でもすべてにおいて不利であった第2電電(現KDDI)が日本で2番目の通信会社に躍進し、日本の通信料金は飛躍的に安くなった。日本の通信料金が下がったことの恩恵は、すべての日本の企業のコスト削減や推進力、個人の生活品質の向上において、その貢献は計り知れないだろう。

もしも稲盛さんが手を挙げず、国鉄や公団のゆるゆるの経営陣しか参入していなかったら、そこに命懸けの情熱も信念も哲学もなかろうから、ちょっとくらい値下げをしたところでお互いに手打ちにして、依然日本の通信料金は世界でも高額のままで、大いに日本経済の足を引っ張りまくっただろう。

 

それにしてもJAL。こんなになってもJALはボクら日本人の誇りだと思う。それは今も変わらない。

過去の経営陣の放漫(傲慢)と組合の肥大化でボロボロにされてことは許されるべきではない。そもそも退職金の減額も、なぜリタイヤ組は3割カットで許されて、現職組が5割もカットされるのかわからない。むしろ逆で、過去の役職の重い人ほど9割でも100%でもカットして、これから残って負の遺産と取組む人たちにこそ厚くすべきではないかと思う。ボクがとやかくいう立場ではないけど。

 

ただ、稲盛さんが経営のトップに立てば必ず再建できると信じている。

心配なのは健康面だ。すでに77歳の高齢にして今回の重責である。好き勝手言う評論家とかがボウフラのように湧いてきて、面白可笑しく世論を混乱させるだろう。そんなもんに、ついていく社員やグループに関わる方は惑わされてほしくない。ただベクトルをひとつに重ねてほしい。そうしたら絶対に再建は成功する。そう祈ってる。

ボクなんかの寿命でよければ残り全部差し上げても、稲盛さんには世の中のために今しばらく生き続けていただきたい。きっと日本も再建してくれるだろう。

JALの再建と稲盛さんの健康を心から願う。