花に癒されて

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 2週間あまりの日本出張からようやく帰ってきた。

出国直前まで慌ただしくって、最後の日というのに朝からアメリカや日本との会議、ためてたメールの返信、それに専門書の買い物であっという間に昼近くになり、空港に着いてからもラウンジでPCにへばりついたままで、優雅にぐびりとビールやシャンパンを飲む作戦は果たせなかった。

ようやく飛行機に乗ってその作戦は果たせたけど、乗ってる間に読破しようと思ってたマックとツイッターを本は、シャンパンの心地良い酔い(と、専門書からの逃避?)ですっかり熟睡してしまい目が覚めたら着陸前の朝だった。

 

出張と言えば、不思議な習性(習慣)で、ボクは出張や旅行から帰ってきたら、即荷物の整理をしないと落ち着かない。

まず洗濯物とクリーニングに出す衣服を振り分ける。

いただいた名刺を、顔と名前が一致するカードとそうでないカードに振り分ける。

(なるべく名刺はもらった直後に、日付と場面と話した内容と特徴まで書いておくのだけど、大きな会合やパーティで一撃で10枚とか20枚とか交換すると顔と名前が一致しなかったりする。そういう名刺は一定期間を経てもやり取りが発生しなければ処分する)

領収書をひとつにまとめる。

持ち歩き用の財布から、日本円を大きめのパスポートケースに移す。逆にそこから必要な分だけ米ドルを持ち歩き財布に移し替える。置いていったアメリカのカードは元のパスポートケースにもどす。

日本用の携帯電話や充電器、説明書は一式ジプロックにまとめて、出張用のバッグに保管する。

学校系の資料、海外メディア系の資料、その他の資料、仕事関係の書籍をそれぞれ振り分ける。

それから出張中のノートとiPhoneの音声メモをチェックして、帰国後にやるべきことを一枚のTo Do Listにまとめる。

最後に出張の間体重を支えてくれた革靴をピカピカに磨く。

ここまで一気にやってしまわないと気持ちが悪い。

小学生の頃のボクは、学期の終わりの大掃除の時、机の中のものを全部出すのだけど、クシャクシャになった父兄への便りや宿題、給食のパンなどが毎回無惨な姿で現れ、先生に殴られたりクラスのみんなに笑われた。その時は悔しいし反省するのだけど、下校する頃には忘れて笑っていた。

そんなボクが一人前に整理整頓を語っているのだから、同級生が聞いたら腰を抜かすかも知れない。

出張の整理が終わる頃、カミサンがこしらえた昼ご飯を食べる。

今回の出張も50食続けて外食で、それもほとんどが人との会食だからけっこう重たい食事の連続で、久しぶりの素朴な食事にほっとする。

それからカミサンに引かれて表庭と中庭の花を見て歩いた。

しばらく見ないうちにいろんな種類の花が咲いている。

花が咲いているのも気づかず、花の名前も知らないなんてもったいないことだと思った。

一時元気のなかったレモンの木はたくさんの実をつけた。となりの家から伸びてきた蔦(つた)は我が家の白い塀が隠れるくらいその枝(葉っぱ?)を伸ばしている。気持ち良さそうだ。植物や自然に、家の境界も国境もないわけで、大いに成長してちょうだい。

たくさんの達成感&充実感の一方で、未解決の問題にザラリと傷ついたまま血が滲んだような心。それがゆっくりゆっくりと癒されていく。

鼻からいっぱいにやわらかい春の風を吸い込んだら、何で悩んでいたのか忘れてしまった。