夜明けのスタバ

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 428日の水曜日。

朝5時半のスタバから。

日本出張から帰ってきて5日目。

例によってオレンジカウンティまで娘をスケートリンクに送って、近くのスタバでMacBookを開いてる。

まだ外は暗いこの時間、ボクの斜め前には自動車の整備工のユニフォームにパーカーを羽織った中年男性が熱心に水彩画を描いている。彫りの深い顔はメキシカンかな。

どんな絵を描いているのかのぞいたら、童話の絵本に出てきそうなやわらかい森と子どもの絵だった。

描き手のやさしさとか体温が伝わってくる絵で思わず「すごいね、キレイだね」と感嘆を声を漏らすと、彼は照れくさそうにはにかんだ。

ボクのとなりのテーブルでは学生らしき女の子が一心不乱に勉強している。徹夜かな。

人生の折り返し点を過ぎると、一生懸命とか夢を追いかけることの大切さ、尊さがわかってくる。残り時間をていねいに。家族や社員に恥ずかしくない生き様をしたいと思う。

 

日本に行って思った。

怒っている人、イライラしている人が多いこと。

政治に、経済に、社会に、世の中に。

そこらじゅうに理不尽なこと、おかしなことがまかり通っていて、怒りたくなるのもすごくわかる。勘弁してくれよと。何を信じていいのかわからなくなる。

だけど不平不満からは何も生まれないし、自分の人生は自分で切り開かなくちゃ始まらないのも確かだ。

批判や批評だけする人が60億人いても良い地球には絶対ならないけど、自分のパンを1/3でもちぎって分かち合える人、となりを歩く人の荷物をいっしょに担いであげる人、誰かに喜んでもらうためとか誰かのシアワセのために働く人、そんな人たちで地球がいっぱいになったら、みんなにとって絶対素晴らしい世の中になるはずだ。

例えボクらの時代に間に合わなくても。

世の中や国や会社はぶら下がるもんじゃなく、自らが創るものだ。

まず自分から。まずまわりから。

朝のスタバのコーヒーの香りとジャズに包まれて、昨日よりちょっとでもやさしい自分になりたいと思った。

夜が明ける頃、“絵描きさん”がボクのテーブルまで来て「今日も良い一日を」と笑顔で去っていった。