国籍も宗教も超越するフォロソフィー

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 今朝はサンディエゴから。

目が覚めて、ベッドの中からiPhoneでメールの返信や急ぎの指示・共有事項を済ませる。

ちょっと横着な気分。

シャワーを浴びて、7時半に近所のスタバに“出勤”。

昨日は京セラアメリカのご厚意で、午後から京セラアメリカの本社ビル(サンディエゴ)見学と社長の講演を拝聴する機会をいただいた。

学んだことをいくつかシェアします。

・京セラでは人件費の高いアメリカにおいては、通信インフラや環境技術、エネルギー、国防など、先端技術や特殊技術を必要とする分野で、複雑で高度な「少量多品種高付加価値」で勝負している。人件費ではとても南米やアジアにかなわない中、日本の生き残りのヒントを見た気がする。中途半端な企業(個人)は、どの分野でもサバイブするのがますます難しくなっていくだろう。受け身ではなく、常に自分を磨くこと、創造的な仕事をすることが求められる。頑張るのは当たり前で、知恵をしぼり、工夫と改善を重ね、モノマネじゃない、新しい価値を自らの手で生み出すのだ。

・上記をワンストップで解決すること。京セラでは、お客さんと膝詰めで構想から開発、デザイン、設計、組立、テストまで完結してしまう。言い換えたら、ここ以外で頼む理由がないし、頼めないということ。稲盛さんの「値づけ(料金設定)は、原価の積み上げからではなく、価値に対してつけるもの」という哲学がここにも。もうひとつ、京セラフォロソフィーの「お客との関係が信頼を超えて、尊敬されるようになったら、値段が高い安いではなくなる」も垣間見た。

・ボクにとって、仏教的な思想・哲学が色濃いと感じている京セラフィロソフィー(京セラ全社員の行動規範・哲学)が、キリスト教の国・多国籍の人たちにどのように受け止められているか興味深かったのだけど、トップ(社長や副会長)自らが答えてくれた。

「京セラフィロソフィーは、日本的というよりユニバーサルバリュー。私たちが両親から教わって来たものとそのまま通じる。個人と仕事の境目はない。一生懸命に働け、正直でなくてはならない、人にやさしく思いやりを持て、人として何が正しいか、これらの価値観・行動規範は、人種や宗教を超えてすべての人が共感するものだ」

京セラではトップの3人は、日本からの駐在員ではなくまったくのアメリカ人(転職の多いアメリカで、ひとりは勤続31年、ふたりは29年)だ。

・京セラフィロソフィーをトップからテンポラリーワーカーまで共有・浸透するために、全社員が毎週必ずフィロソフィー勉強会を実践している。中間管理職以上はそれに加えて週に2回。また、それ以外に「少なくとも」半年に1回、各2日以上の合宿で、フィロソフィーの徹底共有を図るという。

幹部全員が学び、磨き、ブレないようにベクトルを合わせることにどれほど重きを置いているかがよくわかった。ライトハウスも週に3回様々な勉強会をやっているけど、まだまだ踏み込みが足りないと感じた。

・興味深かったのが、日本文化と思っていた「社員間のコンパ」を積極的に実施していること。仕事を離れて、上司と部下がお互いに労い合ったり、夢を語るという企業文化を大切にしている。ただし、事故や交通違反を避けるために「1人2杯まで」というルールも設けている。なるほど。

京セラがまだ創業間もない小さな頃、残業する社員に夜鳴きうどんを振るまい、それを啜りながら稲盛さんは「今に通りで一番、区で一番、京都で一番、日本で一番、いつか世界で一番になろう!」と夢を語って聴かせたそうだ。その思いが遠くアメリカでも時空を超えてしっかりと息づいている。

稲盛さんご自身、自分でも途方もないことを言っていると感じていたけど、それでも伝え続けたそうだ。伝え続けて、世界を夢見て、足もとの地道な努力を重ね続け、今では本当に様々な領域で世界一になり、KDDIと合わせると年商6兆円近い規模になって今もなお伸び続けている。

講演の最後に「稲盛名誉会長が日本航空の再建に取り組んでいることをどう感じているか」と質問がでた。

それに対して、京セラアメリカの社長がこう答えた。

「ドクターイナモリは78歳にして倒産した会社の再建に乗り出した。

人生でたぶん最後の挑戦になるだろう。

私は毎日再建が成功するように祈っている。

ドクターイナモリとこの件で直接話したわけではないけど、日本航空の再建はひとつの企業の再生ではなく、【日本のアイコン】ともいえる企業を再生させることで、すべての日本人をエンカレッジ(励ます)しようとしているのだろう。日本と日本国民のために」

そして最後にもう一度、

「成功を毎日心から祈っている」と結んだ。

 

*盛和塾ロサンゼルスのホームページ

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