2人乗りの全力疾走

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 626日の土曜日の朝。

例によって4時に起きて娘をスケートリンクにドロップしてからスタバの片隅を陣取っている。

昨日ハワイの出張から帰ってきた。

ミーティングやイベントや会食で毎日があっという間に過ぎたけど、今回は毎朝ホテルの前のビーチで泳いだ。全身のチカラを抜いて、ただプカプカ浮かんで澄んだ青空を眺めているだけで心が豊かになった。

出張から帰ると、そんな話だけ子どもたちにするものだから「パパは好きな事ばっかりできて良いなあ」と口を尖らせる。

先週の日曜日は父の日だった。

この9月から高校2年生のなる息子は、赤い台紙にワープロ打ちした紙を貼った手作りのカードをくれた。

「パパへ、

毎日楽しい一日を過ごせるようにしてくれてありがとうね。

よく出張に行ってて家にいないことがあるけどその分がんばってくれてありがとうね。

毎日がんばってくれてありがとう。僕たちに笑顔をどんなときでもくれてありがとう。

これからもよろしくね!ハップイーフアーザーズデイ!!!(原文まま)」

小学生でももう少し日本語が上手だと思うけど、生意気盛りの息子がヘタクソな日本語で一生懸命に作ってくれた。

9月からいよいよシニア(高校4年生)になる娘は、水色の台紙に灯台(ライトハウス)の写真のコピーを貼ったカードをくれた。

「パパ、父の日おめでとう!

人生の事でも何でもいろいろと毎日教えてくれてありがとう。

けんかとかたまあにしやすいお互い様だと思うけど、そして私はたぶん育てるのが難しい女の子だけど付き合ってくれてありがとう。

いろいろパパのお蔭様でいつも感謝してます〜!I LOVE U!(こっちも原文まま)」

どっちも怪しい日本語だけど、毎年欠かさず心のこもったカードをくれる。

ハワイ出張の間もデスクに置いて何度も眺めてた。

ボクは躾には(自分を棚に上げて)うるさいけど、子どもたちに何になってほしいとか、どこの大学に行ってほしいとかはあまり口にしない。彼らから相談された時にはボクの考えとして伝えるけど。

考えたらボクの両親も好きにさせてくれた。

同級生が一様に就職活動をする時も、ボクは世の中の「常識」が理解できなかったから一切やらなかった。

強いて言えば、商船学校の実習生としてアメリカに来た時、「どこでもいいからボクを雇ってください」とお願いしたのがボクなりの就職活動か。

子どもたちに望むこと。ただ健康でいてくれたらありがたい。

欲を言えば、人に迷惑をかけず、やさしい思いやりのある人になってくれたらそれ以上の感謝はない。

だからボクは毎朝毎晩お祈りをする人なのだけど、感謝と反省だけでお願いごとはしない事にしている。それは神社やお寺や教会に行ってもいっしょだ。(節操がないか)

ただある時だけ。子どもが病気やケガで苦しんだ時にだけ例外的にお願いする。むしろ、お願いはその時のためにとってある。それ以外のことはお願いするもんじゃなくて自分で努力するもんだと思ってる。朝無事に目が覚めて、夜眠る時に家族や仲間が無事だったらそれ以上のシアワセはないもの。

そう言えばめずらしく山口の親父から電話があった。

「おう。焼酎のサーバーと焼酎が届いたわい。ありがとうよ」

「良かった良かった、それで飲んだら味が良くなるらしいよ」

ふと小学生の頃、足にガラス瓶が刺さって血みどろのボクを病院まで自転車の2人乗りで全力疾走してくれた若い日の親父が思い出された。

そういえば親父も人に迷惑をかけるなくらいしか言わなかったなあ。