それってどうだ?

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「震災で苦しい環境にある子どもたちをアメリカに招待したい。
教会のみなさんのサポートで、ディズニーランドに行けたり、ホームステイができたり、みんなが応援してくれる。100人でも200人でも呼んであげたい」

知人を介して、ある方からコンタクトをもらった。

とても尊く立派なお考えだけど、飛行機で連れてくる算段はどうするのか訊ねると、そこを相談したいと。

うーん。

そこが一番肝心なことで、自分の頭でしっかり考えてから相談してくださいと返した。

ディズニーもホームステイも大切だけど、それは「枝葉」だ。

チャリティコンサートでも、ゴルフコンペでも、ガレージセールでも、街頭募金でも、お金を集めるという「幹」を人任せにしては、事が運ぶわけもない。

純粋な心からくる申し出だけに、言葉を選ぶのに時間を費やしてしまった。

以前に、アフリカの子どもを救いたいからNPOを立ち上げたいと日本人の留学生が相談に来た。

この時も腕を組んで、この真っすぐな想いの青年にどう伝えたら良いかと苦心した。

「あなたの想いはとても立派だ。美しいと思う。

でも私の考えでは順番がちがうよ。

あなたはまだ自力で生きていないんだ。

親の仕送りから、学費や食費やアパート代を捻出してるんだ。車やガソリン代だってそうだ。

オレがあなたの親なら仕送り止めるぜ。勉強せいと。

人の心配をする前に、まず自分の身を立てることが先決だろう。

一生懸命に勉強して、社会に出て、まず税金を払えるようになろうぜ。

アフリカの応援も立派だけど、先に親孝行しようよ」

途中から言葉に怒気を含んだ。

青年はなるほどと感心したような顔で帰っていった。

こういうことに出くわす度にしっかりせいとため息が出る。

ん、もっと酷いのがいた気がする。燃えてるけど本末転倒の穴だらけ。

しばらく記憶を辿る。

思い出した。

自分だ。