休日の午後の青年たち

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今朝は久しぶりのソフトボールのリーグ戦でおまけにダブルヘッダー。

予想通りの激戦だったけど、オートバンク、伊藤忠に連勝。

僕個人も8打数6安打でさく越えホームランが2本。
なんか年々飛距離が伸びてく気がする。還暦あたりがピークかも知れない。

午後は3人のかわいい大学生が「人生?」相談に来た。
日本人の両親を持つアメリカ生まれの若者たち。

Kくんは将来獣医を目指し、Sくんは海中にホテルを作り、Tくんは世界中にバーを持つオーナーを夢見る。

華やかな話はこれっぽちもない。
僕の経営者としての23年半の中でほとんどの部分「失敗」の話をした。

利己的な考えで出発した事業はすべて失敗したこと。
予見されたリスクに備えず、大損害したこと。

例えば、採用予定のキーマンが来なかったから失敗したのではない、来なかった場合の手を打っていなかったから失敗したのだという事例や考え方。

予定通りに来ない、してくれない、相手が潰れた、担当者が変わった、裏切られた、実はなかった、それらはすべて失敗の原因ではない。

それに備えていなかったこと、執着や怠慢で判断を誤ったことが原因だ。

要はすべて経営者の責任。
そもそも予定通りにいかないのが当たり前で、外に原因はない。

タイムマネージメントにも触れた。

「緊急度が高く、重要なこと」は誰でもやっている。

「緊急じゃないけど、重要なこと」を同じくらい優先順位をおいてやらなくてはならない。

Kであれば、大学生活の残り3年で、自分がどういう獣医になりたいか、様々な獣医に会って会って会いまくることで「理想の獣医」「目指すべき獣医像」を自分の中で確かにすることだ。

ひとつのアイデアとして、
ひと月に2人の獣医に面会して、話を聴かせてもらうことを勧めた。
簡単には会ってくれないだろう。でも10人にひとり会ってくれるなら20件に電話すればいい。

卒業までそれを続けたら、700件に断られても、72人の獣医の話が生で聴ける。再訪を許し、指導してくれる獣医もいるだろう。一生のお手本もできるかもしれない。

いつでもできそうだけど、今すぐやるべきことだ。3年後にやり切った自分と何もしなかった自分を比較してみるといい。

「いつかやる」「やったほうがいい」人は何もしないしできない。

「いますぐやる」「期限を切る」「具体的にやることを決める」人は必ず実現できる。

獣医は目的ではない。獣医になって、世の中にどんなone and only(唯一無二)の価値を提供するかが大切なんだ。

大学に入ることも、会社の入ることも、資格を取ることも手段であって目的ではない。
それによって、何を実現するか、どんな価値を生み出すかが重要であり、その先にあるものが目的だ。時々人は手段と目的をゴッチャにして、その先が空っぽだったりする。

世界中にバーを持ちたいTくんには、卒業までの36ヶ月で、南カリフォルニアにある超一流のバーに月に一件、客として訪問することを勧めた。

訪れる客、サービス、メニュー、内装、立地、店を構成するすべての要素を長時間観察し、質問し、学び尽くせと。

もちろん学生の身では金銭的にも情報収集の点でも容易ではない。お父さんに夢とビジョンを伝えて、金銭面、情報収集はもちろん、大人の視点や立ち振る舞い、ビジネスもいっしょに学ばせてもらうようアドバイスした。お父さんは独立以前、酒類メーカーの駐在員として活躍した人だ。身近な先生から学ばない手はない。

会社経営に一番大切なことを問われ、「全従業員の幸せを心から願うこと、実現すること」「全従業員が、人生を重ねるに足る、夢、ビジョン、ミッションを持つこと、実現すること」をあげた。

答え切って、自分に問うた。僕は経営者として相応しいかと。

時計を見ると2時間半が過ぎていた。

話の途中、彼らの目が時々うっすら赤くなった。おじさんもつられて声がかすれた。

最後に大事なことを言った。

「僕は忙しい人間だけど、若い人の相談にはどんなに忙しくても必ず相談に乗ると人生の中で決めている。こうして一ヶ月も待たせてしまったけどね。

その理由は僕が曲がりなりにもやってくることができたのは、大勢の大人たちの無償の導きや応援のおかげなんだ。見返りを求めない無償の愛情のおかげで今の自分やライトハウスがある。

だから君たちも将来、自らが力をつけるようになったら次の世代に力になってあげることだ。

自分を信じて頑張ってごらん。生易しいことじゃないけど、誠実な心とか人を思いやるやさしい気持ちをもち続けて。オレもアメリカを代表する会社になるからさ。2021年までに。

誰かがやるのを待つんじゃない。今すぐ。まず自分から。行動するんだ。

そういう想いを持った人でこの世の中がいっぱいになったらすごく素敵な世の中になると思わないか」

青年たちは笑顔いっぱいに頷いた。

休日の午後の良い時間だった。