A教官の愛情

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息子と向かい合わせに焼うどんを食い、肩を並べて食器を洗う。

原価は安い?けど、えらく贅沢な時間を味わった。

こいつも来年の今頃は家を出てる。

古い話だけど、僕が卒業した商船学校は、卒業の前に(当時の)運輸省航海訓練所の船で1年間国内外の航海実習をさせてもらえる。

ある晩、実習生であった僕らは、船内の大教室で20人くらいの大宴会をやった。

酔うための酒は時間を必要としない。

同時に、空き瓶やツマミの袋が散乱する教室。

「みんな!明日、朝イチで集まって掃除しようや!」

声が大きかった僕に仲間たちも賛同してくれて、みなその場を後にして眠りについた。

数時間後。

「込山、エライことや! A教官がカンカンに怒って教室で待ってるで」

酒が抜けない空気アタマで昨夜の宴があった教室に行くと、A教官が激怒していた。

うんざりする僕。

と、、、僕の名前を呼ばれるや、首が歪むくらいの勢いで張り倒された。

その瞬間は運が悪いと思った。

昔から何でオレばっかりこうなんだろう。

叱る方が辛いこと、叱る意味自体を気づくまでには、その後まだまだ時間を要した。

なかなか俯瞰して見られる境地になれないもんだ。