渡辺貞夫さん

NO IMAGE

昨夜は、地元オーケストラのアジアアメリカシンフォニーのコンサートに行ってきた。

同オーケストラには、友人の娘エリちゃんがバイオリニストとして大人に混じって演奏している。

まだ12歳のエリちゃんはホームスクーリング(特定の才能を伸ばすために、学校に通わず家庭に教育を委ねる方法)で、小さい時から音楽の英才教育を受けてきた。

音楽の才能も素晴らしいけど、それ以上に、両親の愛情を一杯に受け、たくさんの音楽家の中で育つ彼女は、謙虚で礼儀正しく、子どもなのに立派な人柄で、こっちがお手本にしたいくらいだ。

すでに活躍のフィールドをヨーロッパにも広げ、将来を渇望された音楽家のひとりだ。

コンサートの話に戻ろう。

昨夜のコンサートは、前半がベートーベンの作品。インターミッションをはさんで、後半はサックス奏者の渡辺貞夫さんのジャズセッション。

にこにこ顔の小さなおじいちゃんがサックスをぶら下げてステージに入ってくる。そして、ピアノとベース、ドラムの演奏に、サックスが加わった瞬間、会場は割れんばかりの拍手。

あんまりにも格好良くって鳥肌が立った。

しばらく会場がジャズに酔いしれた後、同楽団の指揮者のディビッド・ベノィットのアレンジメントによる渡辺さんたちのジャズとオーケストラによる大セッション。

ジャズとオーケストラなんて想像もつかなかったけどこれが面白い!!
ボクみたいに音楽がわからなくても、カラダが震えるし、心が躍る。

音楽ができるってホントに素敵だなあとステージのうえの演奏家たちを羨ましく思った。言語も文化もちがう集まりがひとつになって、こんなに大勢の人たちを魅了してしまうもんなあ。

その中心にいるのが今年75歳になる日本人のおじいちゃん。

LAで録音したアルバム「カリフォルニアシャワー」が一世を風靡して、ジャズを身近なものにしてくれたのが1970年代後半。

あれから30年、このおじいちゃんはちっとも錆びてない。

ボクより32年先輩。くたびれたり、弱音吐いてる場合じゃない。
    

*渡辺貞夫 SADAO WATANABE
(Alto Saxophone,Sopranino Saxophone, Flute)    
1933年、栃木県生まれ。高校卒業後、上京。アルトサックス・プレイヤーとして数多くのバンドのセッションを経て、1962年米国ボストンのバークリー音楽院に留学。
日本を代表するトップミュージシャンとしてジャズの枠に留まらない独自の音楽性で世界を舞台に活躍。写真家としての才能も認められ6冊の写真集を出版。2005年愛知万博では政府出展事業の総合監督を務め、音楽を通して世界平和のメッセージを提唱。

http://www.sadao.com/index.html