深夜の来客

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一昨日の深夜、帰宅して湯煙のジャグジに入ると、先に浸かっていた家内がひそひそ声で、

「お客さんが来てるんだよ」

「???(誰じゃい)」

「ほらっ、あっち。プールに鴨が番(つがい)で来てる」

照明をつけていない闇のプールに目を凝らすと、2つの小さな影が浮かんでいる。

しばらく眺めていると、こっちに向ってふわふわと並んで泳いでくる。

数メートルのところでこちらの気配に気づいたようでくるりと向きを変えて、またもとにいた方に泳いでいった。なんとも可愛らしい。

翌朝目覚めてすぐにプールを覗いてみたけど、もう番(つがい)の鴨の姿はなかった。ちょっとさみしい。

その日、家内がプール掃除の業者さんにそのことを話すと、

「とんでもない。鴨は糞でプールを汚すし、居心地が良かったら今度はたくさん仲間を連れてくる。プールが鴨でいっぱいになっても良いのか」

う〜ん。それも楽しそうな気がする。

そしてあることを思い出した。


以前に住んでいた家は、裏庭がそのままパロスバーデスの渓谷に面していて、野生のスカンク(おならを発射されるとたいへんなことになるのでただ去るのを待つのみ)やポッサム(ネズミと豚の中間動物。動きが鈍いのに目つきが狂暴で、睨まれるとたじろいでしまう)などが、うちで飼っている猫の餌を狙って、庭のデッキのところまで夜な夜な侵入してきた。

そこにある夜から、小柄なアライグマが加わった。

最初はこちらの気配に気づくと一目散に逃げていたのが、だんだん攻撃の気配がないとわかると、目が合っても逃げなくなった。また、うちの餌は栄養が良いようでスクスク大きくなる。

そのうちにヨメさん(ダンナ?)を見つけたようで番(つがい)で訪れるようになった。

両手で食べては手を洗う仕草がかわいらしくて、家族や来客を喜ばせた。

そのうちに3匹か4匹の子どもができて、猫の餌を食べにくることが定時の食事のようになっていった。可愛いのだけど複雑な気持ち。

ある夜、庭のデッキで煙草を吹かしていたら(当時ボクは喫煙者だった)、のそのそとフェンスを抜けて、アライグマの一家が一列になってこちらにやってくる。

すたすたすたすた。

ボクを気にする様子もなく、真横を通り抜けて餌箱を覗くも、たまたま餌が入っていない。一瞬、首を傾げたように見えた。しっかり頼むよと。

ゆっくりとお父ちゃんグマがボクの方に向き直り、ヨイショと立ち上がり、ちょうだいのポーズをとる。と、次々に母ちゃんグマもチビたちも立ち上がり、ちょうだいポーズで迫る。

親子にぐるりと取り囲まれ、ちょうだいポーズをされるのは可愛らしいというよりすごくおっかなかった。

「アライ」だけど「クマ」だし。


我に返って、やっぱり鴨に憩いの場を提供するのは、申し訳ないけどカンベン願おうと思った。