グラウンドの青空
- 2007.04.22
- 日記

今朝は息子の玄(はるか)のリトルリーグの練習試合があった。
玄のチームは現在1勝10敗。最下位を文字通り独走している。いや、走ってはいないか。
感心(感謝)するのが、監督のジャックは本当に辛抱強く選手を起用してくれる。
もちろん層が薄いから起用せざるを得ない背景もあるんだけど、失敗しても失敗しても見捨てることなく、根気よく長所をみつけ、すべての子どもたちを励ましながらチームを引っ張る。
息子のチームでも、毎回一方的に負ける試合を観戦するのは気が滅入るものだ。
ピッチャーのひとりにジェイクという男の子がいる。
体格には恵まれて球も速いんけど、少女漫画のような瞳をしていて、とにかく気が弱い。コントロールが定まらず四球を出すと、そのつぶらな瞳がすぐに潤む。四球でランナーを貯めては打ち込まれ、そのうちにマウンドの上で泣き出す。12歳にもなって。
そんなジェイクだけど、試合を重ねる中で、少しずつだけど逞しくなってきた。泣きそうになるけどグッと堪える。打ち込まれても四球で歩かせても自分からマウンドを降りなくなった。
それは監督のジャックとチームメイトのおかげだろう。
いつものように不安な顔でジェイクがマウンドに上がると、チームメイト全員が、ジェイクの名前を呼んで励ます。誰に促されることなく、内野から外野から全員がジェイクの名前を呼んで力づける。
「カモン、ジェイク。ユーキャンドゥーイッ!!」
誰ひとり、バカにする者はいない。誰ひとりジェイクを諦めない。
気が遠くなるくらい四球を出しても、打ち込まれても、イヤな顔を微塵も見せず、ジェイクを励まし続ける。
相手チームの最終回のマウンドに上がったのは、好守に加え、強力打線が並ぶ中でただひとり、グラウンドに立っていることが不思議なくらいの肥満で、加えて身体が不自由な少年アレックスだった。
そんなアレックスは顔を歪めて必死の形相でミットめがけて投げる。
不自然なフォームだけど身体のすべてを使ってボールを投げる。
球は遅い。コントロールも決して良くない。正直、見ていて痛々しい。
そんなアレックスを相手チームの少年たちが励ます。四球を続けても、打たれてもアレックスを諦めない。アレックスを励ます声援がグラウンドに響く。
こっちのチームも決して手抜きはしない。真剣勝負で向き合う。
甘い球はブンブン振り回す。
昔、日本の少年野球で見た相手チームを野次る少年も、エラーや四球に舌打ちする少年もいない。あれは大人の鏡だったのではないだろうか。
このグラウンドでは勝つことよりよっぽど大切なことを教えてくれる。
ジェイクやアレックスにとって、このマウンドで仲間たちに励まされ、支えてもらったことは輝かしい人生の財産になるだろう。そして、彼らは人を許せる大人になるにちがいない。人に勇気やチャンスを与えられる人になるだろう。
社会に出て勝ち続けるなんてありえない。
世の中も組織も、当然だけどできるヤツばっかりじゃない。強い者がいたら弱者もいる。誰だって何の弾みで弱者に回るかわからない。世の中みんなが強くなることなんてありえない。
勝つことに長けた人を大量生産するより、人の痛みがわかる人間や、他人のことを思いやれる人、人の幸せを喜べる人で満たされる方が、人類にとっても地球にとっても良いに決まっている。
今日もまたコテンパンにやられたけど、心の中はグラウンドの青空のように清々しい。