タバコと人ごみの中で
- 2007.02.25
- 日記

今日は晴天の土曜日。
四日市のカミサンの実家から書いている。
一昨日の木曜日の夕方日本入りして、昨日は終日東京で仕事。
朝5時に起きて、帝国ホテルの15階の部屋から人通りもまばらな明け方の景色を眺めながらアポイントの予習やメールのチェックをする。
一段落したところで、冷水のシャワーを浴びてスーツに着替え、そのまま待ち合わせの品川へタクシーで向かう。
いったんスーツケースを預けるために駅のコインロッカーを探すも、朝の品川駅の津波のような人ごみになかなか前に進めない。
酔っぱらいか、大きな奇声をあげて転がる30歳前後の男性に、行き交う人は侮蔑の視線を一瞬投げると無表情にもどり四方に流れていく。
東京の出張でいつも感じるのだけど、朝の駅や電車には、人々のザラザラやイライラが充満しているようだ。うっかりすると「気」を吸い取られそうになる。
お年寄りや重い荷物の女性を助ける人も少ない。どこにも笑顔が見当たらない。週末だとそうでもないんだけどね。
午前中の2本のアポイントを終え、午後のアポイントの待ち合わせ場所JRの渋谷駅には1時間くらい早く着いた。
ノートブックを使いたくて、座れる場所を探してウロウロ駅のまわりを行ったり来たりしてやっとの思いで東口のコーヒーショップに見つけた。
改札口の前にあるカウンターだけの狭い店内で、ガラスではなく壁紙にむかって腰掛ける。幅がわずか30センチ。
気をつけないと、隣の人に肘が当たるくらい左右のゆとりもない。
そんな店内に、左右も背後もギッシリ客で埋まる。
ようやく空いたイスを見つけてノートブックを開くと、
「プシュッ」
ライターの音とともに左からタバコの煙。
強引にニオイが鼻を突く。
カンベンしてほしいけど文句も言えない。
「プシュッ」
そのとなりからも。
「プシュッ」
今度は右隣。
と、見渡したら、タタミ2畳ほどのスペースの真ん中で、ボクを囲むように6人がいっせいにタバコを吸っているではないか。囲碁みたい。
頭はクラクラ、肺はキリキリ。
とうとう気分が悪くなって、ノートブックをたたんで足早に店を後にした。
ボクも何年か前まで吸っていたほうだから、今更ながらそういう無神経を繰り返していたであろうことを反省する。仲間と飲んでいる時にとなりで吸っても気にならないんだけどね。
そう言えば、JRの新幹線も4月から全席禁煙になるらしい。
喫煙者の方には申し訳ないけど、席が取れなくてやむを得ずに喫煙車両に乗る人もいることを考えると良いことだと思う。家族連れなど本当に気の毒だもの。
国際線の飛行機はずっと前に「全面禁煙」が導入されたけど、それ以前はいい加減な時代もあった。
その昔、ボクはスモーカーであった時代でも乗り物に乗る時には禁煙席を指定した。
あるエアラインのビジネスクラスで出張した時、後ろのあたりからタバコの煙が流れてきた。
不思議に思い、立ち上がって振り返ると、すぐ後ろの席でボクよりひとまわり以上も年配のネクタイの男がプカプカやっている。
「ここは禁煙席だからタバコを控えてもらえませんか」
顔をつぶさぬように丁寧に言ったつもりだ。
もちろん腹ではいい大人がいい加減にしろと思っていたけど顔には出さない。
そしたら、心外な顔をして「なんで吸っちゃイカンのだ」ときた。
みるみるアタマに血が昇ってくるのがわかった。
若かったから、ネクタイの顔面にダブルパンチを埋めるシーンがアタマを過(よぎ)った。
と、様子に気づいた客室乗務員が飛んで来て、
「たいへん申し訳ありません!この席から後ろは喫煙席なんです」
と平謝り。
そりゃないだろ。
一瞬、耳を疑ったけど、我に返ってネクタイにアタマを下げた。
こっちが悪いわけじゃないけど、そのままバターになって融けてしまいたかった。いや、その後の居心地の悪かったこと。
話は渋谷にもどる。
LCEのパートナーの高畠と合流。
人の多さに圧倒されつつも、お客さんとのミーティングでは建設的な話し合いができて充実。まだタバコでキリキリ痛む肺のあたりを撫でながら、高田馬場の早稲田大学へむかう。山手線を乗り継ぎ、路線バスで学生の多い街を走る。
この日はなんと受験日で、夕方にボクらがミーティングを終えたタイミングぴったりに、試験を終えた夥(おびただ)しい数の受験生がいっせいに建物からはき出された。時速1キロ。ここでもしばらく受験生にモミクチャになりながら、ようやく大通りに出てタクシーに飛び込んだ。人ごみを泳ぎ切った感じ。
が、健闘空しく、夕方の渋滞に巻き込まれ、とても荷物を置いた品川には辿り着けそうにない。作戦変更で最寄り駅に向かってもらう。いやはや。
こういう日常を東京の人たちは毎日過ごしているのだから頭が下がる。
出張初日、久しぶりに東京の人の多さに揉まれた一日だった。
明後日からはしっかり東京モードで走りたい。