オレンジの照明
- 2009.05.24
- 日記

5月14日(木曜日)
ハワイ4日目。
日中はハワイの日系社会の様子を勉強するために、アロハストリートの社長の上野さんの案内で、ニジヤマーケット、マルカイ(2店舗)、ドンキーホーテなどを視察して回る。食材はロサンゼルスに比べていくぶん高いものの10年前、20年前に比べると格段に手頃になっている。牛乳がちょっと高め。いいんだけど。
客層は、平日の日中ということもあるけど、高齢の日系人が多かった。
夕方からは、アロハストリート主催イベントで、ビジネスサークルのみなさんに、南カリフォルニアの日系市場についてレクチャーをさせていただく。
ハワイの慣習で、レイ(花でつくったネックレス)をして話すのだけど、鏡に映ったボクはボルネオ島の議員みたいだ。いけてるかも。
50名近い参加者は経営者が多く、30代から40代が中心。30%くらいの方は本土での留学、もしくは就業経験を持っていた。
多くのみなさんが、次の市場として本土を意識していて、子どもの教育環境についても「ハワイよりロサンゼルスで受けさせたい」と考えている方が多かった。
今回のイベントは、先週ロサンゼルスで開催した「世界メディア交流会」(世界のメディア経営者が、各地でのビジネスや生活環境をパネルディスカッション形式で解説した)の「ロサンゼルス版inハワイ」といった感じ。
ハワイから本土にビジネスを広げたいという方に、ロサンゼルスやサンディエゴの様子を紹介させてもらった。
ボクは世界中で、人や企業がもっともっと自由に行き来できるようになってほしい。
働く地域、暮らす国を自分の意志で自由に選ぶことが当たり前の世の中になったらステキではないか。
みなさんの興味に応える話ができるか不安だったけど、会場はどんどんヒートして、時間いっぱいまで質問が途切れることはなかった。いや、あっという間の2時間であった。ふぅ。
ここからがお楽しみで、そのまま歩いて近所の洒落たレストラン(貸し切り!)に流れて交流会。
ハワイ在住のみなさんはみな気さくで、昔からの仲間と話しているような感覚でとても楽しかった。
2時間余りの間に、半分(20名)近い方と話すことができたうえ、何人かの方とはけっこうシゴトや人生の深い話まですることができた。オトナの世界だから、毒にも薬にもならない薄っぺらな話より、一期一会で本質的な話がしたい。もちろん、男同士のバカ話も大好きだけど。
こうして一時に大勢の方と話せたことで、ここで事業を営むみなさんが、何を目指して、どんなことに困っているか、また、何に興味や感心を寄せているかを学ぶことができた。
何よりこんな短い時間で心通わせる仲間が得られたことがうれしかったなあ。
同世代の経営者仲間がいっぱいできた。
ますますハワイが好きになってしまったよん。
ということで、この感動をメンバーにも。
今年の社員旅行はハワイに決めたのだ!
5月15日(金曜日)
午前中、再びアロハのみなさんにレクチャーをした後、ご褒美に上野さんが観光案内をしてくれる。
大好きなノースショアでは裸足で海に浸したり、画廊やショップを散策した。
ドールの記念館では、パイナップルのソフトクリームを頬張って完全に観光客になったよ。思えば、郊外に出るとどの店も、買い物をしてもしなくてもみんな親切で自然体。“構え”が見返りを求めたり、値踏みをするところがない。
こんなことを言うと叱られそうだけど、ニューヨークからハワイに向かうにつれて店員さんは大らかで親切になっていく気がする。
夕食は上野さんのアパートに、スタッフのみなさんと招いてもらって、パートナーが朝から時間をかけてこしらえてくれたご馳走に舌鼓を打つ。
今回はアロハストリートのみなさんともすっかり親しくなれた。
みなさん、それぞれ熱く、時に波乱に満ちた人生があるのですね。
観光地を訪ねて歩くだけでは記憶や記録が残っても、その地に心は残らない。
やっぱり、人との絆が生まれて、旅はいっそう豊かになるのですね。
って、オレ出張だった。
食後、上野さんの運転で、タンタラスの丘からワイキキの夜景を眺めた。
島の起伏を浮かび上がらせるオレンジの照明が20数年前の記憶を鮮やかに甦らせた。
そうだ、ボクは86年の2月、運輸省航海訓練所の実習生として、帆船日本丸に乗って初めて訪れた海外がこのハワイだったのだ。
冬の北太平洋に針路を取って、ひたすら風力だけで40日間かけて到着したハワイ。上陸の前夜、沖に錨を下ろして、遠くから眺めるハワイはオレンジ色の照明が印象的だった。この照明の下でどんな人たちがどんな営みをしているのだろう。手に届くところまで辿り着いた外国に思いを馳せた。
あの時の夜景を今は丘の上から眺めている。
ハワイで出逢った人たち、上野さんとのつながり、オレンジ色の夜景、ハワイが大好きと言っていた弟の顔、これまでの人生とこれからの残り時間、バラバラのパーツが頭の中で大きなサークルになってつながったような気がした。
5月16日(土曜日)
晴天の朝、上野さんとパートナーがプリウスでホテルまで迎えにきてくれた。
出発前に朝市に連れて行ってくれるのだ。
ダイアモンドヘッドの中腹で週末に催される朝市は、観光客にも広く知られているようで、笑ったり感心したりする日本語がまわりから聴こえてくる。あたりはオーガニックの野菜や果物、蜂蜜や食べ物屋のテントが軒を連ね、地元に人にも人気のスポットらしい。
さっそく上野さんお薦めのジンジャエールを入手(って奢ってもらったけど)。
ジンジャエールと言えば、日本では“海の家”で幅を利かせていたカナダドライと思っていたけど、ジンジャー(生姜)のジュースだったのですね。ピリッとシャープな口当たりで、その美味しいこと!
小学校の時、東京で(四国では売っていない)ドクターペッパーに出会って、初めて飲む人工的で毒々しい味に驚いたけど、この“生”ジンジャエールは、その正反対の清廉潔白直球勝負という趣で、心もカラダも浄化してくれそうな清々しい味わいだ。
何の土産も買ってないのを思い出し、ジャムと魚のジャーキーをいくつか購入。名物のトマトのフライ(なかなかの美味)やスパムおにぎりをつまんでいたらお腹もいっぱいになってきた。
ホテルへの帰り道、海岸沿いに車を停めてハワイの海に向かって深呼吸。
なかなか有意義な滞在であったなあ。
と、横で関西弁のグループが、枝にカメラを据えてタイマーで記念撮影している。
だけど逆光。
気になる。放っとけない。
おせっかいで、ボクが1番ナイスと思うポジションでポーズをとってもらってパチリ。関西の若者たちはいかつい顔をほころばせて喜ぶ。笑うとかわいいやんけ。
これまでよりうんと身近になったハワイの風がやさしく頬を撫でて通り過ぎていく。