反面教師
- 2007.10.16
- 日記

ちょっと考えさせられる一日だった。
ボクは今日の午後、約束の1時ちょうどにその社長のオフィスを訪ねた。前のミーティングが延びているようで、そのままソファーで待っていた。
待つのは慣れっこだけど、20分過ぎた頃、今日の目的を考えた時に決して良い話し合いをすることはできないと思い、受付に言付けて静かに席を立った。
仕切り直そう。
ミーティングが押すことは常だし、待つこと待たせることはお互いさまだと思っている。むしろ待つより待たせる方がイヤだしツライと思う。
ただ今日はちょっと事情がちがった。
世間でも評判のその会社は、従業員が数百人になる成長著しい飲食業なのだけど、社長夫妻から「自己資金での成長スピードには限界があるので投資家を紹介してほしい」という相談を受けていた。
そもそもライトハウスは「日系企業への投資が促進して、そこに雇用が生まれ、日系社会にお金が循環して活性化拡大する」ことを目指しているので、その相談を受けた時、単にビジネスではなく微力ながらもこの会社が伸びるようチカラになりたいと思った。
そんなところに先の出張で、(ボクの実力とはまったく関係のないところで)細く長いつきあいだった投資家の知人から、アメリカでちょっとまとまった額の投資をしたいという相談を受けたのだ。1億2億の話ではない。
これって運命?
そのくらい絶妙のタイミングだった。頼りにしてくれる両者を引き合わせればきっと良縁になる(なってほしい)。内心その社長夫妻を喜ばせたかった。
もちろん、自分の信用を担保するわけだから、一方で厳しい審査の目も持って訪問した。矛盾するようだけど、今日はいろいろな角度から質問してもっと人となりを知っておかなくてはならないと密かに思ってもいた。
が、それ以前の話で、自分の都合で早めたアポイントを放ったらかしで20分待たせている状況に、(何度もボクの中に傲慢はないか自問自答したうえで)もしここにクライアントがいるとしたらやはりあまりにも失礼な話だと判断して席を立った。
「お待たせして申し訳ありません」あるいは「もうしばらくお待ちください」その一言がない組織に疑問を残し。
それでもこのあたりまでは、後で社長の「すまぬ」の一言があったら水に流せると思っていた。
帰社すると、その社長秘書からうちのメンバーにえらい剣幕で「社長のアポイントがあるのに勝手に帰ってしまった(ボクのこと)。うちの社長が今待っているから携帯電話の番号を教えて。そうでなかったら至急電話をさせて」と2回も電話があったそうだ。外部の人に使う言語に「うちの社長」も「至急」もないよなあ。
報告を受けた瞬間、潮が引くようにこの会社への思い入れが失せて消えた。
それにしてもボクは見る目がない。
自分にも非があるやも知れぬと時間が経って考え直し、きっと来客のケアを怠ったことで社長に叱られるのが怖くて、この秘書はヒステリックになってしまったのだろうと前向きに解釈しようと試みた。
それにしても。
非礼を詫びるどころか、秘書に電話させるトップの神経も理解できなかった。
やっぱりメンバーとトップは鏡なんだよなあと不思議な感心をした。
きっと会社が大きくなる過程で進言してくれる人材を失い、絶対君主の裸の王様になってしまったのだろう。
決して同じ轍を踏まぬよう身を引き締めた。
それにしてもこんな会社を紹介したら大恥どころか信用失墜だったろうから、急遽神さまがメッキを剥いで見せたのだろう。感謝すべきことなんだよなあ。
傲慢は見るに耐えない。
電話一本、来客一件の対応で将来を左右するかもしれないような機会損失につながることを身を持って知った。
また、お客さんに対してはもちろんベンダーさんや裏方さんに対してこそ、温かく謙虚に気持ちをこめて接しなくてはならないと改めて感じた。
態度を使い分けるような、人間として卑しいことがあってはならない。
加えて、まちがってもトップの顔色を見て仕事をするような集団になってはいけない。見るべきはお客さんの顔色でもない。見つめるべきはお客さんの課題とその解決法だ。もちろんそれは礼節のうえに。
しみじみ我が身を省みて、今は2つの会社を合わせても40名足らずだけど、100人になっても200人になっても、この仲間たちがそういう恥ずかしい振る舞いをせぬよう、やさしい心で小さな心配りを大切にできるよう、また自分自身が決して裸の王様にならぬよう思いを新たにする一日だった。