何があっても

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昨日は早朝深夜の日帰りサンディエゴ出張で、一日しっかりカラダを動かしたので朝6時まで熟睡した。だけど疲れはまったく残っていない。調子良いゾ。

PCを開いて昨晩のうちにもらったメールや、昨日返事ができなかったメールの返事をする。早朝の静かなこの時間は仕事が捗(はかど)って気持ち良い。

一段落したらストレッチと深呼吸をしてプールでひと泳ぎ。

午前8時には心身ともにトップスピードに入る。

サンディエゴでは朝夕にLCEの大野、日本のパートナー高畠とミーティング。その合間に営業の同行について回る。

ボクのスケジュールは、ライトハウス、LCEのメンバー全員に開放していて、スケジュール管理ソフトのサイボーズを見て、空いているところはメンバーが勝手にボクとのミーティングや同行営業、挨拶回りを入れられるようにしている。

両社ともに、ボク自身は事業のフローに入っていないけど、新人から幹部までボクを活用できるところは自由に使えるようにしている。そしてボクといっしょに過ごす時間の中でより多くのことを学んでほしいと願っている。

サンディエゴ版の同行営業は、ロサンゼルス版を創刊した当時のようでとくに楽しい。

前マネージャーの大野やメンバーが頑張ってくれたおかげで、ようやくサンディエゴに浸透してきたけれど、老舗の「ゆうゆう」の後発で、高額で、そのうえ値引きをほとんどしない方針だから営業もカンタンではない。

昨日もいったん断られた営業先に、3時間空けずに手書きの企画書と事業モデルを携えて走った。メンバーに、営業の醍醐味、スピード感、演出の大切さを背中で見せるためだ。

先方はそういうマーケティングの仕方があったかとえらく喜んでくれた。

大いに納得しつつも「同じ料金でひとつ大きなサイズにサービスしてくれたら、今すぐ一年契約をする」と来たので「ボクたちを信頼してくれて、そのままの金額で出してくれているお客さんを裏切ることはできない」(*やりとりは英語)とお断りした。

それでも「あなたはトップだから決めることができるでしょう。他の誰にも言わないから。他のどこのメディアも大きな割引をくれるよ」と食い下がる。

かなり執拗に値切られたけど、「予算が無いならひとつ上のサイズで、2回出すのを1回にすれば良い。商売がもっと良くなってから2回出せば良いじゃないか。私は割引はしたくない。一番大切なのはサイズの大小ではなく、あなたの商売を繁盛させるには何をすべきかということ。ぜひ考えてほしい。割引はできても、私のような提案ができる営業がいましたか?」とやんわり断った。

最後は先方が根負けして「わかった。たぶん月に一回で希望のサイズでいくよ」
と言ってくれた。店を出る時に握手をして「良い提案をしてくれてありがとう!」と初めて見せる人懐っこい笑顔で送り出してくれた。

今回契約に至らないかもしれない。でも契約書をゴールにするのではなく、こうしてお客さんがどうやって繁盛するか、なにかチカラになれないか、そういう視点でメンバー全員が営業できるようになったら売上はついてくる。

口先や小手先、同業他社の誹謗中傷で得たようなお金は短命だ。自分自身も卑屈になる。そんな営業は絶対に社員にさせない。家族や社員が見て恥ずかしいような営業をしてはならない。同業他社の話が出たらいっしょになって褒めておけば良いのだ。

契約書は、お客さんと担当者、お客さんとライトハウスの末長い関係を創っていく中でのスタートに過ぎない。

「ライトハウスの広告は高い」とお叱りを受けることもある。

少しでも安くご提供できることはとても大切だけど、それ以上に広告主の「お客さん」である読者に支持をしてもらえるように、役立ち、潤い、元気が出る誌面を、常に安定して発行し続けることが大切だと思う。

ライトハウスは数年に一度大掛かりなアンケートを実施する。

そこでわかるのは、アンケートに答えてくれた1700人の在住者は多少の差はあるけどほとんどのメディアをピックアップする。

しかし、「そのメディアが好きか」「そのメディアが信頼できるか」「そのメディアを使って広告を利用するか」という設問には驚くくらい数字に差が出る。

たしかに我が身に置き換えると、大切なモノ(サービス)や大きな買い物をする時は「信頼できる」「好きな」メディアで「比較をして」買いたい。ピックアップしても、「信頼まではしていない」「好きでもないメディア」の広告を利用しようという気持ちにはなりにくい。

幸いライトハウスはどの設問もほぼ90%を超える支持をいただいている。そういう支持を得続けるためにも、もっともっとライトハウスはパワーアップしなくてはならない。現状維持は後退だ。

「ライトハウス、儲かってるやろ」と冷やかされることもある。

実際、創業19年目。高い利益率の会社に育ってきた。企業は売上も大事だけど、むしろ利益率が高く筋肉質の「強い」会社であることの方がずっと大切だと思う。

ライトハウスに限らず、ここに根を下ろす全ての日系の企業や商店がこの20年の間に数々の辛酸を舐めてきた。バブル崩壊、日本企業の撤退、地震、暴動、湾岸戦争、移民法の厳格化、同時多発テロ・・・、自分たちのチカラではいかんともし難い試練を経験してきた。そして残念ながら多くの会社はその波に淘汰された。アメリカ人ではなく移民の我々には有形無形のハンデもある。(だから、次に来る人たちのハンデを少しでも縮めること、ハードルを低くすることがボクらの使命だ)

ライトハウスの教育事業ではテロの影響で半年間売上がゼロだったこともある。自分の判断ミスで大きな損を出して家を手放したこともある。

この先もこれまで以上に多くの試練が待っているだろう。

そんな時にも社員や家族を守れる「備え」が経営だと思う。備えるためには適正な利益を確保せねばならない。身を持って経験してきた答えだ。

つい最近、憧れのビルへ引っ越す話を書いたけど、それだって何かの時には手放せば何百万ドルかのキャッシュは作れる。

商売人の家で育った家内は「なるべくカンベンしてね」と言うけど、「何かあったらお家を売ってもう一回ガーデナのアパートからやり直そ」と言ってくれる。

今のボクにはそのくらいのチカラしかないけど、少なくとも最悪の事態が来てもそれで命をつないで嵐が過ぎるのを待てば良い。

オフィスだってまた創業時のようにアパートや倉庫から始めたら良い。ボクについてくるメンバーを守ることができたら、どんなあばら屋で仕事をしてもちっとも恥ずかしくない。

そしてまた大きくしたら良い。その時はもっと強い会社になっているからね。

ボクは今だって飛び込み営業をホイホイできるし、何回でも地べたから這い上がる腹筋と足腰を持っている。脳味噌はクルミのようにちっちゃいけどね。

それが無印のボクの強みだ。

最初の試練を迎えているLCEには、今まさにボクの知恵と経験を活かさねばならない。