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込山洋一

至福の時

今年も残すところ2週間。

昨夜はライトハウスのクリスマスパーティだった。
ふだんはメンバー同士直接会う機会の少ないシアトル支局やサンディエゴ支局のメンバーも、この日は全員ロサンゼルスの本社に集まり、一年の頑張りを労(ねぎら)い称(たた)え合う。

一年が終わる頃、このパーティで全社のメンバーが仲良く笑い合い(じゃれ合い?)楽しそうに過ごす様子を眺めるのが人生の至福の時だ。

今年もチャレンジと試練がてんこ盛りの良い一年だった。

とくにこの2年あまりは、複数のプロジェクトを進めるために頻繁に日本に行っているから、創業時さながらに現場で体当たりの連続だった。

アメリカにいると28年培ってきた信頼のベースの上で仕事をさせてもらえるし、多くの部分をメンバーが担ってくれるけど、日本はまだまだこれからだから、ひとりで乗り込み、ライトハウスを知らない方に自己紹介から始めるのも当たり前だ。特別扱いのない、素の自分で勝負する経験を積ませてもらっている。

おかげでアメリカだと近頃は経験できないような悔しいことや切ないこと、惨めなこともふつうにあるけど、その分、50歳にもなると錆(さび)たりたるみがちな性根が鍛えられ、市場を肌で感じ、チャンスを直に捉えることができる。そして何よりその成果が現れている。

そう、こうして会社を空けてチャレンジができるのは、社長の植野を始め仲間たちのおかげであることも忘れてはならない。

パーティ会場に戻ろう。

パーティにはメンバーの家族も招待する。毎年その子供たちの成長の早さに驚く。一年でお母さんを見下ろすくらい背が伸びたお嬢さんもいるし、ゲーム大会に負けて泣く女の子に、自分がもらった景品をやさしくプレゼントする4歳の男の子もいた。

一年という時間は、彼らの心も体もこんなにも成長させるのだ。

この場面を脳裏に刻んでおけば、また一年たいていのことには挫けない。いやいや、何があっても挫けない。毎年この至福の時を過ごすために。

12 17, 2016

ルート66を走る(その3)

11月11日午前10時19分、ニューメキシコ州アルバカーキから530キロの町アリゾナ州フラッグスタッフに、僕らは無事に到着した。ロサンゼルスを出発してから6日目。
僕は小学生の頃から自転車が大好きで、その時代その環境で許される自転車旅を重ねてきたけれど、4日間で500キロの距離(1日平均125キロ)を走れたこと、とくに3日目に160キロの距離を1日で走り切れたことは大きな自信になった。30歳の頃の自分に負けていないと思う。
30年アメリカに暮らしていて新たな発見もあった。
往路のアムトラックで乗り合わせた乗客との交流から、宗教上の理由で飛行機を使わない人たちの存在を知った。男性はみなアゴにたっぷりの髭をたくわえていて、その風貌といい日常生活でなかなか接する機会がない。
その一人、夕食をともにした28歳のミッチェルは、背丈より大きな十字架を背負って、1年がかりでアメリカ大陸を歩いて横断して、その帰路だという。野宿や教会、信者の家に泊まりながら旅を続けたというが、冬はマイナスを切る気温に凍え、夏は40℃を超えるアスファルトの道で倒れそうになる日もあっただろう。何を思い、どんな旅をしてきたのかもっと聴いてみたかった。
もうひとつは自らの身を守ることについての考え方。
幸いにも銃と無縁の生活をしてきたけど、ニューメキシコ州では家屋はもちろん自動車の車内にもケースなしで装填済みの銃を持つことができる。
隣家が遠く離れ(あるいは無く)、警察が来るまで時間がかかる地域では、犯罪から身を守るために銃を備えるという考え方が、彼らの立場に立つと理解できたし、多くの家で犬を放し飼いにしている理由にも納得した。不審者(僕たち?)には猛然と向かっていくくらいでなくてはならないのだ。
途中珍しい生き物にも遭遇した。
たぶん、ハイエナ。
進行方向の草原から数匹のハイエナが現れて、じっとこちらの様子を窺っている。背筋がヒンヤリしたが、せめて目の力で負けないように、目力を込めて睨みつけ、目を逸らさずゆっくりその横を通り抜けた(学生時代、地方の繁華街でヤンキーに睨まれた場面を思い出した)。
もう追いつけないところまで走って、「怖かったぁ〜〜」と相棒と目を潤ませて笑った。
あとで検索すると、アメリカにハイエナは生息していないようだけど、面構えや長い前肢、まだらの斑といい、図鑑の写真といっしょに見える。
それもこれも含めて、無事でよかった。
当たり前だけど自転車の旅は、自分自身はもちろん、相方が病気や怪我をしたら前に進めない。競走ではないから、互いのペースを合わせるのはもちろん、相手のコンディションや体力、精神状態を酌みながら、ベストなパフォーマンスを発揮できるように助け合うチームプレーだ。
それに加えて天候や道路事情、事故などの外的な要因もあって、自分たちだけでコントロールできない。
先が見えないどこまでも続く上り坂があれば、風を感じながら爽快に進む下り坂もある。どちらか一方だけではない。
そんなすべてが人生や組織と似ているように思う。
「そもそもお金と時間と健康があっても、列車や道路や帰りのレンタカー、道中の食事やベッドがなかったらこの旅はできなかったね。自転車だってそうさ。部品を作る人、運ぶ人、組み立てる人がいる。いろんなおかげがあって、今オレたちはこうして冷たいビールが飲める。ここは感謝をこめて、もう一杯いっとこう!」
夜遅いトーランスの飲食店の片隅で、僕らは2杯目のビールを力強く乾杯した。

 

11 12, 2016

ルート66を走る(その2)

「いたいたいたいたいっ!」
自転車旅2日目の夜、僕はホテルのベッドで入念にストレッチをしている。
アルバカーキからフラッグスタッフまで530キロの自転車旅は今日で2日目。
想定外のオンパレードながら、中間地点のギャラップまで到達することができた。
1つ目の軽い想定外は、前回のセントラルカリフォルニアの旅に負けないくらいグーグルマップのルート表示に翻弄されていて、個人の所有地(畑や牧場)を突っ切るルートだったり、マウンテンバイクでないと走行不能なルートに右往左往せねばならなかった。
そこへ持ってきて、ルート66は気まぐれに消えたり生えてくるもんだから、突然現れる通行止めの標識に途方にくれたりした。
気温が0℃近くまで急激に下がる日の入りは待ってくれない。さらに宿場町から次の宿場町は100キロを超える距離。
選択肢がない中で、深さがわからない泥水の水たまりを抜け、砂利道で足をさらわれ、時には高速で大型トレーラーが真横を走るフリーウェイを走り抜けた。
もうひとつの想定外は「犬」。
初日の午後、突然遠くから2匹の大型犬が真っすぐに僕らを目掛けて走ってくるではないか。
友好的な雰囲気でないことは真横まで迫った険しい表情でわかる。
身の危険を感じた僕らは必死でペダルを踏み込む。まだこんなに力が残っていたのかと感心するくらいの超スピードで。
それでも低い声で吠えながら、2匹の大型犬はしばらく僕らを追いかけてきたが、最後にはようやく諦めた。
怖かった。
久しぶりにキラキラ目が潤んだ。
それでもドラマは終わらない。。
大型犬を振り切ったと思ったら、しばらくして今度は10数匹の小型犬の群れが反対方向から向かってくるではないか。いい大人が子犬に追いかけられてまたまた全力で逃げる。
もう笑うしかなかった。
おかげで一夜明けた今日は、2、3匹の小型犬が追いかけて来ようものなら逆に怒って吠え返したし、牛が横切っても馬が現れても驚かなかった。
おっかない話ばかり書いたけど、風景はどこまでも壮大で、人は温かい。シアワセな旅をしている。
橋の上から眺める長い列車は地平線まで届いたし、グランドキャニオンのような神秘的な岩肌の山が、僕らを見守るようにどこまでも広がっていた。
食堂や水を補給する店では、店員や客がどこに向かうのか笑顔で尋ねる。通り過ぎる車はクラクションで僕らを励まし、すれ違う村人は人懐っこい顔で手を振ってくれた。
計画通りにいかない旅だからこそ、ふだん使わない脳みそや生きるための本能を呼び覚ましてくれる。
さて。この250キロはひたすら登り道だったけど、明日からは下りに転じる。80キロ先の宿場町にするか、その次の160キロ先の町にするか、出たとこ勝負で決めるのだ。

 

11 12, 2016

ルート66を走る(その1)

11月6日午後6時10分。東に1300キロ、ニューメキシコ州のアルバカーキに向けて、アムトラックはとっぷり日が暮れたロサンゼルスを出発した。
車窓をオレンジ色の街灯がゆっくり流れる。
今週は休暇をとって、自転車の相棒H氏と、アルバカーキを起点にアリゾナ州フラッグスタッフまで約500キロの道のりを、ルート66に沿って自転車で走る計画。
大陸を横断するルート66(国道66号線/3755キロ)は、中東部のイリノイ州シカゴと、西部のカリフォルニア州サンタモニカを結び、アメリカ西部の発展を促進した重要な国道だ。
何年掛かるかわからないけど、このアメリカ横断ルートとアメリカ縦断ルート(カナダのバンクーバーからメキシコ国境)を、無理せず無茶せずぼちぼちと自転車で走破しようと企んでいる。
それにしても今回の道中は、最低気温がほぼ5℃以下、とくにフラッグスタッフは0〜1℃だから冷蔵庫並みの寒さとの勝負。
とりあえず軽くてかさばらないユニクロのダウンやヒートテックをリュックにまとめて詰め込んだ。
がんばれユニクロ!いや、がんばるのはオレか。。

11 12, 2016

カリフォルニア中部自転車旅

レイバーデイの連休はカリフォルニア中部を仲間と自転車で走った。
初日はサンタバーバラの北にあるゴーダまで車で移動して、そこからは自転車で西海岸に沿って1号線を北上。カーメルに1泊した後、モントレーを経由して内陸に切り込み、ブドウ畑の真ん中を南下してキングシティで宿泊。3日目は4回路線バスを乗り継ぎ、終点のハーストキャッスルからゴーダまでを再び自転車で走った。カリフォルニア州の真ん中をぐるっと1周。
途中北風に吹き飛ばされそうになったり、悪路にタイヤごと破裂したり、自動車の幅寄せにヒヤリとすることもあったけど、3日間で全行程180マイル(288キロ)、高低差ビル800階分の自転車旅は感動と発見の連続だった。
コース全体がワインの産地なので、毎晩ローカルワインで1日の疲れを癒し、日中もワイナリーに寄り道してテイスティングに舌鼓を打った。
グーグルマップの示す(目的地までの)自転車推奨コースはまだまだ発展途上で、私有地を突っ切ったり、走行不可能なトレイルだったりするので、鵜呑みにしてはならないことを知った。それでも事前の計画段階での確認さえ怠らなければ、とても頼りになるのも事実。今後も欠かせないツールだ。
休日の酷暑の日に、手作業で畑仕事をする大勢のメキシコ人の存在にふれた時には、食物への感謝を思い、決して食事を残したり捨てるまいと決意した。
3日目のハーストキャッスルへの路線バスでは、僕らが北にルートを取ることを知った年配バイカーと運転手から「向かい風を厭わないのかい!」と大笑いされた。それもそのはずで強烈な北からの向かい風に、全身を使ってこいでも身体がなかなか前に進まない。隣を見たら、同じ方向に飛ぶ鳥が静止していた。
息を飲む大自然の数々は写真に任せよう。
走っていた時にはあんなにしんどかったのに、旅を終えるともう次の旅に気持ちが行っている。旅先のワイナリーから送ったワインを飲みながら、グーグルマップで次のルートを思案する時間もまた豊かで楽しい。

09 19, 2016

縁あってシアトル

9月の土曜日。シアトル支局では初めてのセミナー開催の立会いに来ている。
シアトルはロサンゼルスと比べてコンパクトな日系社会だけど、その分みんなが協力し合い、人と人が近い。そしてあたたかい。これはアメリカ人もアジア人も同様。親しい人も初めての人も笑顔で迎えてくれる。
縁あってシアトルの会社を引き継いでから間もなく4年。水と緑が豊かで、人の情が厚いこの街がますます好きになっていく。

09 19, 2016

土俵の真ん中で相撲をとる

今週の社内勉強会のテーマは「土俵の真ん中で相撲をとる」。稲盛和夫さんの言葉で、常に土俵の真ん中を土俵際だと思って、一歩も引けないという気持ちで仕事にあたることだ。

例えば、納期の何日も前に完成日を設定して、これを土俵際と思って渾身の力を振り絞ってその期日を守ることもそうだ。

納期はもちろん、業務改善や商品開発、販路開拓など、緊急じゃないけど重要な案件も同様で、自分で厳しい“納期”を設定しないといつまでも先延ばしになる。

言葉を換えると、追われて仕事をするのではなく、常に自分で仕事をハンドルするということだ。追われてする仕事はミスも出るし創意工夫もない。そんな仕事に気づきも成長もない。

世の中には、自分でハンドルできることとできないことしかないのだから、少なくとも自分でハンドルできることは、自分に恥じないレベルの仕事を常にやり切ること。

全力は当たり前。目の前のことだけでなく、中長期でも自らを俯瞰して、常に土俵際のつもりで人生や仕事に向き合おう。

そんな話をした。

最近やや追われ気味の自分への反省を込めながら。。

09 08, 2016

人生に前向きになれない時

日本から帰ってきて明日で一週間。
毎朝欠かさずに自転車とジムと水泳で汗を流すことで心身のキレが戻ってきた。

最近、友人のドクターの相談を受けた。
数十年来のつきあいの彼は、患者の信頼も厚く、ローカルではもっとも繁盛しているクリニックの経営者だ。少し繊細なところがあるけど、頭脳明晰で人柄も温厚。それが近頃元気がない。

「人生に対して前向きになれない。 どうしたらいいのだろう」

的確なアドバイスも魔法の言葉も持ち合わせていないけど、感謝と謙虚さを持つことから始めてみたらと伝えた。

僕は悲しい時や何をやってもうまくいかない時には、身の回りの感謝を数えるようにしている。

大切な人たちが今日も生きていることは当たり前ではない。僕が世界のどこにいてもメンバーが働いてくれていることも、お客さんが毎月お金を払ってくれることも当たり前ではない。読者がライトハウスを読んでくれることも、学生が今年も研修にたくさん参加してくれることもそうだ。

感謝を想うと、自分自身が奇跡の集積の中で生かされていることに気づく。そうすると大抵のことはなんということはない。また新たな力が湧いてくる。

才能や運だって預かりモノだ。 僕は粘り強さ以外の才能はないけど、健康と人と運にめっぽう恵まれてきた。でもそれを当然と勘違いした瞬間失うこともわかっている。自分以外の誰かのために与えてもらったギフトを、誰かのために費やすことで、また次のギフトが与えられるのだと思う。そんなふうにこの歳になって考えられるようになってきた。

彼に読んでもらうための本を本棚から出してカバンに入れた。

稲盛和夫さんの「生き方」。

僕の甘っちょろい考え方や生き方を何度となく矯正してくれた大切な本だ。

08 02, 2016

目指せジャックの豆の木

日本出張から帰ってきて2日目。午前2時にぱっちりと目が覚めた。

今日はライトハウスのグループ全体の下半期のキックオフ。

毎回スピーチは一週間くらい前から当日にかけて、伝えるべきことを固めていくのだけど、今回は一言で言ったら「感謝と労い」に尽きるなあと暗闇の天井に想う。

すべての業界がそうであるように、市場環境のネガティブな要因をあげたらいくらでも出てくるけど、各事業部、各個人が、
一切の言い訳をせず、常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて、素直な心で頑張り抜いてくれた半年だった。

アスファルトの隙間にひっそり咲く花もあるけれど、花と見せかけてアスファルトを打ち砕き、モリモリ天まで突き抜けて、ジャック顔負けの大木になってやるのだと拳を固めたら、すっかり眠れなくなってしまった。

07 29, 2016

ジャカランダの季節

小雨がちらつく土曜日のロサンゼルス。

今日は朝から帰国子女のための教育セミナー、午後からは日本の医療・介護セミナーとイベント続き。

直前まで集客に気を揉んだけど、蓋を開けたらどちらも満員御礼でひと安心。

ライトハウスは、日本から様々な分野のエキスパートをお招きして、最新の日本の事情を伝えていただくことで、海外在住者の情報ギャップを埋めることにも努めている。

それらの情報によって、どこかの誰かの人生の選択肢が増えるかもしれないし、別の誰かの回り道やリスクが避けられるかもしれない。

そこに僕らのモチベーションがある。

さて、街並みをジャカランダが薄紫色で彩り始めたと思ったらもう5月だ。

サマータイムで少しずつ日が長くなったおかげで、出社前・退社後の時間の使い方にも幅が広がる。僕はこの季節が好きだ。

メンバーの多くは早朝にジムに通ったり、サーフィンをしたり。退社後にゴルフをハーフラウンドするグループもある。慌ただしく市民大学に急ぐ者もいれば、ヨガやダンスのクラスを楽しむ者、スタバで最新技術の習得に取り組む者もいる。

朝型の僕は、自分でコントロールできる出社前の時間を大切にしている。

仕事の予習復習を済ませたらジムで汗を流し、自転車で山を往復し、まだ冷たいプールで身を引き締めてから出社する。

通勤ルートも工夫して、ちょっと遠回りして、海が眺められるルートや森を抜けるルートのドライブを楽しむ。日常を最短とか最速ばかりで埋めてはつまらないから。

そうそう、ちょっと先の話だけど、自転車でアメリカ縦断を計画している。飛行機でも車でもなく、自分の足でアメリカの広さを確かめたいのだ。

すでにサンフランシスコからメキシコ国境(1040Km)は走破したので、残りはカナダ国境からサンフランシスコまで(1874Km)。

グーグルマップを眺めながら、ルート、時期、気候、気象、日照時間、装備、水や食料の補給場所、宿の有無、ネットや充電環境等を勘案しながら計画を立てる。

そんな時間も旅の一部。次の計画がある限り人生はずっと旅になる。

05 07, 2016