無事が一番

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人生で良いことばかりなんてまったく期待してないけど、うまくいかないことが永遠に続かないことも半世紀近く生きてきたから何となく感じている。半分ずつ良いことと良くないことがあって、身近な人たちが今日も無事に過ごすことができたら100点満点の一日だと思う。無事ってすごく有り難い。
1月30日の今日、大学院の1年次の最後の試験を提出して、シャンパンでカミさんと遅い時間に乾杯をしていたら、日本の母親から電話が掛かってきた。番号が表示される受話器をカミさんが明るい表情で僕に手渡す。
たいてい母親は不満のやり場に困って電話をしてくるのだけど、今日は機嫌が良かった。何時も気の向いた方面に夢中になって、まわりがそれを認識した頃にはすっかり飽きているのが常なのだけど、近頃は短歌に凝っているという。
暗黙の期待に応えて、ひとつ聴かせてほしいと頼んだら、電話の向こうで照れくさそうに詠み始めた。よく意味はわからなかったけど、奥深い美しい情景が広がったと応えたら、次から次へと詠んでくれた。一瞬受話器の早送りボタンを押しそうになった。そして自分が学生時代に、ギターを片手に寮の部屋を回って、新曲を披露したのを思い出した。30年経ってすまぬことをしたことに 気づいた。
3月の日本出張の時に実家に顔を出すと伝えたら、仲間に評判の良い創作寿司をこしらえると声が弾んだ。
人生で自分がコントロールできることなんてわずかだけど、そのわずかなことを日々やり尽そうと思う。
それはさておき明日はゴルフだ。その前にガレージの掃除が待ってるけど。