カンザスの空から

NO IMAGE

ニューヨークからの帰りの機中から書いている。
今はカンザス州の上空付近。

ボストンからニューヨーク入りしたのが水曜日の夕方。
到着してから、空港を発つギリギリ直前まで、とにかく人に会い続けた。
会ってまっすぐに思いを伝える。変化球はナシ。

おかげで、今回ボストン、ニューヨークで発行する主要日本語メディア4社の社長と会って、お互いを知り、理想的な関係を築く下地ができた。

みなさん、タイプはまったくちがうけど、魅力的で、うちに秘める情熱を感じた。
仕事を超えても、つきあっていきたい人たちに出会えたことも大きな収穫だ。

また日経新聞の米国本社社長の長谷川さんや副社長の西山さん、ジョブフェア最大手ディスコの責任者の秋山さん、投資ファンド会社の社長大島さんとの情報交換で東海岸での事業イメージがうんとリアルになった。宿題もいっぱい持ち帰る。

来週の日本での役員会が楽しみだ。

それにしても、日中の最高気温でも氷点下というニューヨークの寒かったこと。

そしてまぁ歩いた歩いた。

高層ビルが縁どる四角い空の下を、地図を片手にビルからビルへと歩きまくった。車社会のロサンゼルスでは考えられない。

路面は融けた雪が凍ってスケートリンク化。油断すると転けそうになるから気が抜けないし、横断歩道はどこも泥と雪がぐちゃぐちゃに融けて、足の運びに四苦八苦。

遠くへの移動でタクシーを使おうとするとこれがなかなかつかまらない。
やっと乗車できても渋滞でなかなか前に進まない。いやはやしびれた。

負けてはならんと、ウォール街から51丁目の移動に地下鉄にチャレンジ。

これまでにも乗ったことはあるけど、その時は現地の人といっしょ。
自分では乗り方をよくわかっていない。

今はだいぶ不自由が無くなったけど、田舎育ちのボクは東京や大都市の公共交通機関にヨワイ。四国にそんな複雑な交通機関はないからね。

今でも、東京の路線や料金が複雑に表示してある販売機の前で狼狽(うろた)えていると、後ろから舌打ちや咳払いが聞こえてきてさらにアセル。

そんなことで今回は、切符の買い方から、目的地に行き方まで駅員さんに詳しく聞いてやっとの思いで乗り込んだ。田舎モンのNY地下鉄デビューだ。

表示に沿って目的の路線にたどり着き、待つこと数分。やっとの思いで乗車できた。
同じ田舎モンの片山が「社長、やりますねえ。ニューヨーカーですね」と感心する。

「そう、ワシもニューヨーカー」と心でガッツポーズ。

「これからは地下鉄の時代だよ、公共交通機関を使いこなせずして何が出張か」

しばらくすると地下鉄が地上に出てきた。

空がやたら広い。
郊外ののどかな風景。青空が目にしみる。

ありえない。

こんなマンハッタンない。

まわりに聞いたら反対方向の電車に乗ったらしい。もうすぐ空港だって。

次のアポイントはどう考えても間に合わない。
どうにもならないし、青空を見上げて深呼吸した。

不自由もあったけど、楽しい食事もできた。

昨夜は、某社の社長と、「和の鉄人」で有名な森本シェフのお店「MORIMOTO」のおまかせ料理を堪能した。

出てくる料理すべてが斬新かつ美味しくて、日中のてんてこ舞いも忘れた。

広い店内は300坪を超える。
洗練を極めたインテリアはどんなシャレた店も霞みそう。

そしてナント、一日に500人の予約が入ると言う。平均単価は200ドル近いだろうから、年間で40ミリオン(50億円近く)にもなると勝手にソロバンをはじく。いや、スバラシイ。パチパチ。

実は森本さんには以前にアメリカンドリーマーの特集で取材に協力してもらった。
それが縁で、片山が親しくしてもらっていて、テーブルまでわざわざ挨拶に来てくれたものだからゲストも大いに喜んでくれた。ありがたい。

森本さんは料理人というよりクリエーターという印象。
ここに至るまではご苦労の連続だったろう。

日本からももっともっと後に続く若者が出て来てほしい。

その後はタイムズスクエアの向かいのマンションの30階にある社長の自宅に招かれ、マンハッタンの一級の夜景を見下ろしながら、奥さんの温かいもてなしを受けた。

眩(まばゆ)いばかりのマンハッタンの夜景も素晴らしかったけど、大切なパートナーを紹介してくれたことがうれしかった。

いや今回もまたシアワセで充実した出張だった。

ミュージカルを見れなかったのが心残り。
次回は本場ブロードウェイの「ママミア」を見てみたい。

そう、この出張で火の玉の活躍をしてくれた片山と西川は一日残る。
今頃ミュージカルの「ターザン」を鑑賞している頃か。後半戦は疲労困憊のはずなのに、決して笑顔を絶やさずおつかれさま。ありがとう。
そして留守を守ってくれたメンバーもありがとう。みんなのおかげです。

明日はさっそく日本からの来客とのミーティングが待っている。

4泊したら日本出張だ。

こうしてハードな毎日だけど不思議なことにそれほど疲れない。
むしろ、ハードになるほどチカラが湧きあがってくる。

走り幅跳びの助走はこのくらいにして、これからが人生の本番だ。
もういい加減、ジャンプしたい。
世の中に必要とされる人になりたい。ホンモノになりたい。

ボクは油断するとすぐに邪心や私心が顔をのぞかせる。
ユウワクにもヨワイ。自分に甘い。

だけど、打ち克ちたい自分がいる。

「動機善なりや、私心なかりしか」

いつかホンモノになりたい。