時代はまわる

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昨日の土曜日の午後。

「コミヤマ、今朝は一番ハードに働いたんだって!ウッドロックが言ってたぜ」

息子の野球の練習に行ったら、監督のジャックが開口一番そう言ってボクの肩を叩いた。

そう、この日の午前中は3月3日のリトルリーグ開幕の準備で、朝早くからボランティアのお父さんが集まって、グランドやバッティングケージの整備、スタンドの清掃、草刈り、ゴミ拾いをして、もう見違えるくらいにピカピカにしたのだ。

この準備は、昔のチームメイトで、今は他チームの監督のウッドロックがリーダーを務めた。

ボクはその中でもとりわけハードな、(ダンプカーで運んだグランドの外の)土を一輪車でインフィールドに運び込む仕事を買って出た。

力持ちのボクは、他のお父さんが抱えられないくらいに土を盛り、誰よりも高速で運ぶ。ヘトヘトになるお父さんたちをよそに、決してペースは落ちない、落とさない。

そう、ボクはジムに来ているつもりなのだ。

大量の土を積んで両手で一輪車を押すのは、他でもない実にバランスの取れた全身運動なのだ。両手、手首、両腕、肩、背筋、腹筋、両足、あますところなく躍動する。

「一時間600kcal消費×3時間(目標1800kcal)」

やってみせる、燃やしてみせます体脂肪。

「アニマル」

へたったお父さんの口からもれる。

そう、学生時代から、ボクは動物とか、牛に例えられた。
とくにラグビーをするボクをみながウシに例えた。いいんだけど。

リトルリーグのグランドが終わっても体力が余っているので、トラックの荷台に腰掛けて、ファーム(幼児/初心者用)のフィールドにも往復して土を運んで、スコップやローラーを引いて整備した。

最後に水を撒いたら、芝生の青と赤い土が眩しい立派なフィールドがそこにあった。子供たちが活き活きと走る姿が浮かび上がる。大人たちの歓声が聞こえる。笑ったり、讃え合ったり、泣いたり、落ち込んだり。大人たちが用意した舞台で、彼らは黄金時代を過ごす。

こんなフィールドで野球やりたかったなあ。

3月3日開幕。今年も子供たちが真っ白なボールを追いかける。

そして何十年後、彼らが一輪車を推す。彼らが舞台を用意する。

時代はまわる。