高津ファミリー

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12月27日
あっという間の五日間だった。

スキーの感想で言うと、最終日こそ吹雪で滑れなかったけど、23日は朝から14本、24日はなんと20本も滑ることができて大満足。

もう滑り倒した感じ。

「上級者のみ」と書かれた看板を前に、思い切り怯(ひる)む子供たちを、煽(おだ)てて騙(だま)してゴンドラに押し込み、サミット(頂上)をアタックすることができたし、難コースでは雪煙をあげて大転倒しつつも果敢にチャレンジすることができた。

初めてのハーフパイプではトップでの切り返しのコツがつかめず、和式便器に流されるようにダイナミックに流れ落ちた。

一日中滑って、あれだけ豪快に転んでも、カラダに堪えなかったのは自信にもなった。去年は昼過ぎには足腰がガクガクしてたから、一年通して鍛えた甲斐があったというもの。仕事も遊びもやっぱりカラダが資本だ。

ところで、友人の高津さんはプロ並みに達者に滑る。まったくの恐れ知らずでズンズン滑り降りるからとてもついて行けない。いや、途中まで必死でしがみつくんだけど、瘤(コブ)やスピードについて行けなくなって、必ずドッカーン自爆する。そんな高津さんに、娘のひかるはついて行っているから彼女もどうかしている。

高津さんと言えば、半世紀生きているけど、その昔は山岳部のキャプテンとしてならし、なんと雪崩には2回も流された経験を持つ。一回は、轟音とともに2キロほども流された。雪崩に流される一分あまりは、一本背負いを千回繰り返した感じだったと言う。「雪崩が止んだ瞬間に、光が射す方にかき上がろう」と、その間にも冷静にチャンスを窺っていたという。高津さんのこの手の話は、雪崩に限らず、滝壺に落ちたの、雪山で遭難しそうになったのと留まるところを知らない。

高津さんの話はこのくらいでお休みして、雪山の楽しみはスキーだけではない。

料理は朝晩にお互いの腕を振るう。日が暮れると、熱々の鍋やジューシーなローストビーフを囲む。ベランダの雪で冷やしたスーパードライ、それと新雪を浮かべた焼酎のロックは、一年の疲れやザラザラをゆるやかに溶かしてくれる。うまく行ってないこともある。いや、そんなことばっかりだ。それでも、今年もよく頑張れたと思う。スタッフやまわりの人に今年も助けてもらった。心からありがたいと思う。

子供たちはクッキーをこしらえたり、ゲームをしては笑っている。
お腹が落ち着いてきたら、高津さんがギターを弾く。時々、交代しながら、歌ったり、語ったり、笑ったり。贅沢な夜は尽きない。

思えば高津家とは、ライトハウスを創業した89年からのつきあいになる。

物質的にはそうでもなかったけど、両家ともに当時から心はとても豊かだった。親戚以上に助け合ったし分かち合った。言葉にできない試練もあった。幸いどっちの家にも、当時から来客や居候が絶えない。

子供にはそれぞれ93年、94年と続けて恵まれた。
偶然にも、長女(長男)、長男(次男)の誕生日は一週間と違わない。生まれたときから兄弟のように育ち、感心するくらいに仲が良く、みな、とても優しい。
いや、本当に4人とも素直にまっすぐ育ってくれている。健康でいてくれる。こんなありがたいことはないし、こんな幸せない。いつまでも健康で仲良くあってほしい。

掃除をすぐにサボる子供たちを眺めながら願いを込めた。

片付けを徹底的にやるのも両家の流儀。「来る前よりも美しく」を目指して、キッチンも寝室もすっきりキレイに掃除する。

楽しい休暇だった。来年はハーフパイプを格好良く滑ろう。

便器を擦りながら頭はもう来年の冬に行っている。