人生のヨロコビ

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■今日ボーダーズで手に入れた、ジェイク・シマブクロさんのCDを聴きながら書く土曜日の夜。ジェイクさんには今年の元旦の号でインタビューにご協力いただいた。

■今日は一日、娘をフィギアスケートの練習と日本語の学習塾、バレーのレッスンに送り迎えをする運転手をして、合間に食材の買い物とキッチンや便所掃除をして日が暮れた。

四月なのに日中は30℃を越す暑さで、ビーチのあたりはさぞ賑わっていただろうなあ。

仕事の構想を練るのは、ボクの場合書斎よりキッチンのほうが閃いたりする。

また、消化不良の気持ちのザラザラなどは便所を磨いているうちに忘れてしまったりする。

今日はカミサンが息子に付きっきりで送り迎え。ふだん任せきりの洗い物をスポンジでゴシゴシやっているうちにエンジンがかかってきて、久しぶりに包丁も研いだ。

数ヶ月だけど、86年に渡米した時には飲食店においてもらったから要領はわかる。

鶏の皮(一番切りにくい)がスパスパ切れるくらいにシャープに研ぐと、勢いづいて今度は便器をピカピカに磨いた。

便所掃除をすると心が鎮まって、モノごとを冷静に振り返ることができる。

今週は良からぬことを思ったり、仲間を悪く思ってしまったり(グチも言ったし)、傲慢になりそうな出来事があって、少し(いや、すごく)自己嫌悪気味だったから、反作用で掃除をしたくなったのかも知れない。

この波を逃してはもったいないと、あちこちバラバラに置きっぱなしのCDを整理して、晩メシがしっかりと食えるようにプールでしっかり泳いだ。気分も爽快。

■ところでボクの好物ベスト3は、ハンバーグにパスタ、そしてウィンナー。

ウィンナーあたりは不動の地位というわけではなく、常に焼肉、カタ焼きゾバ、親子丼、餃子、あるいは串カツあたりがその地位を脅かし、ウィンナーにしてみると気が気じゃないだろう。

■日本や海外に行くと、その国その土地のエースカードの料亭や料理でもてなしてくれることがあるけど、ボクにとってはハンバーグが最高得点だから、それ以上は判定不能で、高級フレンチもレバニラもコロッケも、基本的にみな100点と言うことになってしまい、3万円のコースと一皿120円が引き分けたりする(要するにみんなうまい)。

何を食べるか、どこで食べるかより、大切な仲間や好きなヒトと囲むものなら、そこにキャベツ一個とマヨネーズ、ポテトチップスとマグロフレーク缶しかなくても最強最愛のごちそうになる(実際、商船学校時代は金がなくってそれがつまみの定番だった)。

■うちの幹部連中によく叱られるのだけど、ボクは大きなパーティや式典が大の苦手で、それでも立場上どうしても出なくてはならないそれには、顔を出して主催者にあいさつを済ませたら早々に脱出してしまう。

ヒトの集まりや華やかな席が極端に苦手なのだ。

不謹慎だけど、そんなパーティで、後ろ向きな世間話や、つまらぬうわさ話につかまってしまうと、いちおうは眉間にシワを寄せて相槌を打ちながら、自宅の冷蔵庫にビールを冷やしていたか心配してたりする。

そして、ふとトイレに立つような顔をして、そのまま静かにフェードアウトするのがボクのパターンだ。

■ その昔、日本に出張に行って、ベンチャーの経営者などが集まると、銀座や六本木のひとり座って5、6万円するという高級クラブに連れていってくれた。「もう少し未来を語ろう」というより、「アメリカから来たオレのゲスト(交友がインターナショナル)」としての意味合いが強かった。

そういうところには浮世離れした美人がたくさんいて、見ている分には楽しいけれど、実際のところは女の子が入れ替わる度にオウムのように自己紹介をして、そのうちにアホくさい話に合わせるのにくたびれてしまい、さっさと帰ってしまうボクだった。

そして、そういう浮ついた関係そのものからも身を遠ざけていった。

人それぞれだろうけど、ボクは仲間や社員、家族と夢を語ったり、互いの人生を思いやり、冷たいビールで突つく焼肉(焼鳥、餃子も歓迎)こそが人生最大のヨロコビだと思う。