朝のカレーライス

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土曜日の朝。

ゴルフのレッスンを終えて家に帰ると、とっくに9時を過ぎているのに息子のヤツはまだ寝ている。

今晩からヤツはワシントンDCに一週間の修学旅行。

よし、うまいカレーでも作ってやるかと冷蔵庫を開けて、挽き肉やタマネギ、しめじなど適当に引っ張り出してオリーブオイルで炒める。

その一方で、昨日からの食器洗いをやっつける。
二人しかいないのに、一日でそこそこの量になるもんだ。

カレーができあがる頃、ようやく目をこすりながら息子が起きてくる。

「おい、早く顔洗ってこい。カレー食うぞ」

「おっ、朝からカレー。すごいね」

二人の食卓。これも悪くない。
ボクはカレーにウスターソースをかける。なぜか息子はポン酢をかける。互いにそれを見て首をかしげる。

「ねえ、どうしてポン酢って値段がずいぶんちがうの?」

よくいっしょに買い物に行く息子は、マーケットの陳列されたポン酢が、同じくらいの容量で2、3ドルから10ドルを超えるものまでまちまちなのを不思議に思ったらしい。

「例えばこのコップ。ひとつ10ドルとするだろ。もしも1000個まとめて買うとしたら、ひとつのコップが8ドルで売ってくれるかも知れない。ひょっとしたら5ドルで手に入るかも知れない。それと同じで、ポン酢を作るための材料も、大きな工場でいっぺんにたくさん作るために、たくさんの材料をいっぺんに買うとしたら、同じ量を作るための材料の仕入れコストは安くできるよな。
それから、まとめてたくさん作って売るとしたら、一本あたりに乗せるマージンも、少しだけ作って売る場合よりも薄くっていいだろ。」

良い機会と思って、原料コスト、流通コスト、人件費、儲けなどについて、ポン酢を例にとって説明した。

「う〜ん、そうだったんだ。勉強になったぞ。よし、今日の日本語の勉強はこれでおしまい!」

「こら!」

窓の外のレモンの木がやわらかい日差しの中で揺れている。