アメリカンドリーマー列伝(2)

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LA起業ネットワークの主宰者の方から、一昨日のボクの講演についてのアンケート結果が届いた。

「アンケート結果は一人を除き、全員「満足」(5段階評価の5)。
残る一人は、「大満足」と別枠を作ってありました。
こんなことは初めてです(笑)。
あらためて、ありがとうございました」と。

夕方のトラフィックの中、わざわざボクの話を聴きにきてくれるのだから、ちょっとでも元気になって帰ってほしい、迷っている人がいたら気持ちを整理してあげたい、背中を押してほしい人がいたらポンと押してあげたい、そんな思いで一生懸命伝えたから、ひとまずみんな「満足」してくれたようで安心した。

旅行に行ったり、好きな服を買ったり、ゴルフをしたり、冷たいビールでご馳走を食べたり、どれも楽しいし、大好きなんだけど自己(あるいは自分たち)満足で広がりはない。
癒しや気分転換、充電にはなるけど、まだ脳とか肌で感じるレベルを超えない。

それが、人に喜ばれたり、感謝してもらったり、成功とか達成とか喜びを仲間とシェアする時に包まれる幸福感は、魂のレベルで全身の細胞が笑うし躍る。だから、会社のイベントが終わって、晴れ晴れした顔で帰る人たちを見送るのはうれしいし心底シアワセを感じられる。

はてさて。イベントといえば、9月25日ライトハウス20周年記念イベント第14弾でお話いただいたAFC代表の石井龍二さん。
今晩は石井龍二さんの講演で学んだことを整理してみたい。

(2)AFC代表 石井龍二氏
http://www.us-lighthouse.com/business/e-3198.html
86年スーパーマーケットのVONS内に1号店をオープンして以来、努力を重ねてフランチャイズ展開に成功。現在は年商4億ドル(約400億円)、アメリカ49州に約2700店舗、フランチャイズ全店で従業員約6000人を抱える企業にまで成功させた。

・(創業当時)お金がなかったのが良かったかもしれない
「絶対いける。その信念だけ。名刺もまともに刷れないくらいお金がなかった。お金がないからお金をかけないやり方しかなかった。フランチャイズも多店舗展開するにはそうするしかなかった」
(解釈)資金がないことを理由にアクションを起こさなければ何も生まれない。資金がないことをマイナス材料とせず、成功(ゴール)が約束されたゲームの条件のひとつと考え、信じてチャレンジすれば必ず活路は導き出せる。
資金がないことは、行動を起こせない理由にはならない。

・ ボンズの副社長はボクのコンセプトにだけ耳を傾けてくれた
「金も実績も設備もナイナイ尽くしの私(石井氏)に、大手スーパーマーケットチェーンの副社長が会って耳を傾けてくれた。彼は私が何も持っていないことはお見通しだった。だけど、彼はそれを一切訊かなかった。ボクのコンセプトにだけ耳を傾けてくれた」
(解釈)自社製品を売り込みたいと思っても、大企業のトップは会ってくれないと鼻から決めつけていないか。アクションを起こす前に自分で壁を作り、ハードルを上げていないか。傷つくのを恐れて、できない理由やらない理由を数えていないか。信念と情熱の前に必ず道は開ける。雨だれが岩を穿つ(突き通す)ように、アタックしつづけるのだ。

・ 既存店を良くすることが最大の営業
「店舗数拡大や売上アップを追いかけて走り続けて、ちょうど2000店になる頃、このまま拡大を続けると空中分解すると感じた。それからは出店計画を抑えて、既存店の品質(鮮度や味、接客、内装、店を構成するすべて)を上げることに集中した。既存店を良くすると、結果として既存店の売上は伸び、その評判でフランチャイズが増え、そこでまた売上が伸びた」
(解釈)単に店舗数を増やすとか、売上を追いかけることは意味がないこと。店舗数や売上は「結果」であって、「目的」は質の高い味とサービスで顧客の満足やヨロコビを追求すること。そこがぶれない限り企業は伸び続ける。

・ 現場を知る
「ボクのビジネスは、各エリアを任せているリージョンマネージャーがすべて。重要なポジションだから、ダメだと思ったら即辞めてもらう。口頭の報告だけを信用しない。トップには良いことしか言わないから。年に一回、必ず現場(店舗)を回ってチェックする。本当は抜き打ちが良いのだけど、土地勘がないからそうもいかない、だから、視察の時はマネージャーが決めたコースから外れて、遠くても計画にない店舗を視に行く。そこで客の視点で視る」
(解釈)企業がいくら大きくなっても、顧客との接点は「店舗」。机の上だけで経営をするのは目隠しをして仕事をするようなもの。トップが常に現場に目を光らせることは、従業員に現場の重要性を認識させ、現場の緊張感を保つ。また人事は必勝必罰。とくに幹部は厚遇の一方で、役不足の時は解雇する非情さも必要。

今回の講演ではとくにこの4つの言葉に響いた。

それとは別に「怠けると部下は真似る。短パンをはいて行くと部下も短パンで来る」という話は想像しただけで可笑しかった。いつもBMWのオープンカーで現れ、田村正和をスラッとさせた風貌なので短パン姿の想像がつかない。

人に関することでもうひとつあった。「教育」がとても大事と。教育して、信頼して、責任を持たせる。ただし、任せきりダメ。しっかりチェックもする。当たり前のことを当たり前にやり続けてきたから伸び続けているのですね。

石井さんには時々食事に誘っていただいては経営の個人レッスンを受けている。

ちっとも飾ったり大きく見せようとするところがない。そうする必要もないのですね。

ひたすら自然体。

そして子どものように夢中で夢を語るし、夢を追いかけている。

時々、弱音や悩みを吐露するとかえって安心してしまう。

完璧じゃないところもまた魅力で、すべて引っ括めて人がついていくのがよくわかる。