筋肉痛の朝

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 1月23日の土曜日。朝5時には目覚まし時計ナシで目が覚めた。

ベッドテーブルの水を飲もうと身体を起こすと軽い筋肉痛。

何でだろ?なんだか喉もガラガラしてる。

鈍いアタマで記憶をたどると、そうだっ!昨夜はハワイの最終日ってことで、ハワイ版のメンバーみんなでモツ鍋を囲んで、そこから二次会にカラオケボックスに流れて、みんなで歌い踊り狂ったのだった。

靴を脱いでソファーに立つ岩瀬くんがキューティハニーを絶叫して、山内くんは全身を使った不思議なダンスをしてたけど、途中で息があがってソファーに倒れ込み、また起き上がっては自分の世界へ帰っていった。

時々部屋の前を通る他所の客は、何気なくボクらの部屋に目をやると、一瞬くわっと表情を険しくして逃げた。

それにしても、可笑しかったし、楽しかった。メンバーひとりひとりが爆笑したり陶酔する顔が目に浮かぶ。

いや、ボクはどちらかというとカラオケは得意じゃないし、よっぽど親しい仲間としか行かない。ましてやみんなで踊り狂うなんて、4年に1回(けっこう多い!)もないと思う。LAやサンディエゴのメンバーにも見せたことないし、見たくないだろう。

 

鍋を突いている時、少しだけマジメな話をした。

ひとつは、ボクたちライトハウスの作り手が観光客を大切に思う気持ちを持つこと。

誰しもそうだけど、旅先では少し舞い上がったり、肩に力が入ってしまったりする。それはボクらが子どもの時に遠足や修学旅行で大はしゃぎしたように、大人になっても気持ちが浮き立つのはいっしょだ。

ハワイを訪れる観光客も例外ではなく、そんな様子を慣れ親しんだ人から見ると、どこか不思議に映ることがあるかも知れない。それを指差して笑う在住者も散見されるけど、ボクらにはそんな気持ちが微塵もあってはならない。

それは天にツバを吐くようなもんだ。

以前にも書いたけど、この島は観光客が使うお金で経済が循環している。落としたお金が雇用や消費を生み、この島で暮らす人たちの生活を少なからず支えている。そんな大切な“お客さん”が、ハネムーンや記念日、人生のとっておきの時間をこの島で過ごすために来てくれているのを誰が笑うことができよう。

作り手のボクらの気持ちは、必ず文章にデザインに表われる。

この島で暮らし働く人たち、観光で来てたまたまライトハウスを手にしてくれた方たちに、感謝や思いやり、やさしい気持ちを持って作ることを絶対に忘れてはいけない。わかっているだろうけど、敢えてそれを言った。

それはロサンゼルスであろうとサンディエゴであろうと同様で、作り手のボクらが根っこのところで一番大切にすべきことだ。お客さん(読者、広告主)にリスペクトと愛情なくして良い情報誌なんか作れるはずがない。それは技術以前の話なのだ。

もうひとつは、この島で学ぶ学生や社会に出たばかりの若者を応援する気持ちを持つこと。

若いヤツらはお金がないから経済への貢献は期待できない。だけど今、日系社会にお金を循環させ、雇用を生んでいる人たちだって、昔はみんな若者だった。

若い人たちが10年後、20年後、しっかり税金を納めて、日系社会でお金を使って、良き雇用の作り手になれるよう、ボクらメディアが応援していくことは大切だ。

もちろん、シニアを大切にするのは当たり前のこと。

自分が歳を取って親切にされたいのなら、その昔、世の中やこの日系社会を支えてくれたシニアを大切にすることだ。シニア、ボクら中堅、若者は、長い時間の連鎖の中にいるのだ。してもらったこと、助けてもらったことを、次の世代に返していかなくてはならないし、今生きているシニアもまた大切にせねばならない。

また、シニアから学ぶこと、伝えるべきことは多い。そこにもボクらメディアの使命はきっとあるだろう。

メンバーたちはボクの話に熱心に耳を傾けてくれた。

ボクは一生懸命伝えながら、この仲間たちを物心の両面でシアワセにできるよう命懸けで頑張らなくてはと心の底から思った。