溶けるチョコレート

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今日はバレンタインディ。

不在がちの印象を払拭すべく、今日はいつもより早く帰宅。

息子と並んでキッチンに立って、今日は家内と娘にとっておきのディナーをプレゼントした。

と言っても、ただのパスタなのだけどね。

ボクが刻んだタマネギと豚バラを、息子が別々のフライパンで炒め、一方のコンロで、パスタを茹でるためのお湯を大鍋でコトコト沸かす。

アペタイザーには、出来合いだけど、ローストビーフとチーズ、ゆで卵の酢漬けを小皿に盛りつける。

料理が一段落して、買っておいたシャンパンの栓を抜いたところで家族みんなを呼んでテーブルを囲む。

「美味しい、パパ凄過ぎ。何でもできちゃう。男前で天才」

とは、照れもあって言えなかったみたいだけど、めずらしく全員おかわりをしてボクへの尊敬、あるいは憧憬の気持ちを体現した。

食事が終わる頃、娘から手作りのチョコレートを貰って、なんとなくバレンタインディらしい気分になれた。

そう言えば、結婚した頃、家内にむかってボクの母親が「うちのヨウイチは、毎年バレンタインにはチョコレートが段ボール箱に溢れるくらいもろとった」と宣(のたま)った。

(おふくろの記憶はいつも肥大して化学反応を起こし原型を留めない)

オーマイジャニーズ。

ありえない。

思い出しては、意地悪そうに「さすがだね、大したもんだ」とからかう家内の前で、ボクは毎度のようにチョコレートのように溶けて流れる。