SF−LA 500マイル・自転車旅行記(その5)

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 8月14日(水曜日)の朝。快晴。

サンフランシスコとパロスバーデス(我が家)のほぼ中間、サンシメオンという街のロッジで、この旅日記を書いている。

息子との二人旅は6日目、自転車旅の5日目になる。

そう、残り約250マイル(400キロ)、ここまで4日間で250マイル走ったことになる。

旅の真ん中だ。

親子ともども、足も、膝も、腰も立派に痛い。腕も腿も半分ヤケドでヒリヒリする。

でも、今日も力強くペダルを踏めそうだ。慢性の時差ぼけも遠い昔のようだし、むしろ身体が進化している気がする。

ここまで走って、迷って、悶絶して、発見できたこと。

アメリカを自転車で旅行する時、Googleマップは力強い味方なのだけど、地図上でフリーウェイは色付き(黄色)で表示される。

で、自転車はフリーウェイを走れないから、黄色を避けて、コースを決めたら良いのだけど、ローカルの道だけで行くのはコース選定の難易度が高い。

簡単な方法は、目的地を入力する時に、移動手段の選択(車、徒歩、バス)を「徒歩」にしたら、勝手に自転車が走れるルート設定になるのだ。

答一発カシオミニ。(若い方ごめんなさい。古いです)

今さらわかったというか気づいたのだけど、もし最初からわかっていたら、1日目と2日目のあの経験を得ることができなかったから、やっぱり今が最善最適なのだと思う。

人生で、思い出す度笑える経験なんてそうそうないから。。仕事もそうだけど、順風満帆より、泣きそうに苦労して乗り越えたことの方が、多くを教えてくれるし、宝になる。

一昨日に時計を戻そう。

この日は、モントレーからカーメルに抜ける“17マイル ドライブ”を3時間かけてサイクリング。ここでは、玄が鷹と鹿を発見。ペブルビーチのゴルフコースよりそっちに興味がいく。

ロッジに到着後は、シャワーを浴びながらまず洗濯。

そう、息子は来月からオレゴンの大学に入学するために家を出る。短期の留学やサマーキャンプ以外で初めて親もとを離れていく。

だから、せめてこの旅では、最低限の習慣を身につけさせてやることにしている。

旅では、自分の下着は毎日自分で洗って干すこと。

脱衣所は、使った後に水を拭いておくこと。

前の晩(できれば部屋に入った直後)に、次の日の準備は済ませておくこと。出発前に慌てるのはペケ。

部屋を出る前に、使ったタオルをシンクにまとめて、部屋を片付けること。ベッドを整えること。

お掃除の人が不快な思いをしないか、を基準にすればいい。

寮生活が始まれば、母親もメイドさんもいない。当たり前だけど。

そんなことを口うるさく言われるものだから、少しずつマシになってきている。

家だと、耳を塞いで車で脱出できるけど、ここには逃げ場がない。この機会を逃す手はないのだ。

父親らしいことを言っているけど、玄も負けてはいない。

肘をついて食事をすると厳しく咎める。

「僕がいつかお嫁さんを紹介した時に、そんなところは見せられないからね」

レストランの注文では「僕が頼むのを聞いててくれた。パパのはただ注文してるだけで、サーバーの人への丁寧さが足りないの。サーバーの人が気持ちいい言葉を使って。僕がいるうちにしっかり覚えてよ」と宣う。

旅を終える頃には、親子でそうとう紳士になっているかもしれない。。